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猫がシャーと威嚇する・うなる理由と対応|怖さ・痛み・転嫁性攻撃の見分け方と、してはいけない接し方

対象の目安: 全ライフステージ

ハルしつけ・問題行動担当
・ 約34分で読めます
猫がシャーと威嚇する・うなる理由と対応|怖さ・痛み・転嫁性攻撃の見分け方と、してはいけない接し方

手を伸ばしたら「シャーッ」。抱っこしようとしたら低い声で「ウー」。病院から連れて帰った子に、仲良しだったはずの同居猫が毛を逆立てて威嚇する。猫にシャーと言われると、飼い主は「嫌われた」「凶暴になった」とショックを受けがちです。けれど行動学の解説を読み比べると、シャーやうなり声の多くは「これ以上近づかないで」という距離のお願いで、猫が自分の身を守るための手段だと説明されています。この記事では、威嚇の声と姿勢の読み方を整理したうえで、場面ごとに何が起きているのか、飼い主はどう動けばよいのか、そして今までしなかった猫が急に威嚇するようになったときに考えたい体の不調まで、順番にまとめます。

シャーは「攻撃の宣言」より「近づかないで」のサイン

International Cat Careは、うなる、シャーと言う、唾を吐くような音を出す、前足で払う、噛むといった行動を「相手を遠ざけるための行動(repelling behaviours)」と呼んでいます。これらは、不安・恐怖・欲求不満といった自分を守るための感情を抱いている猫が、実際の脅威、あるいは脅威と感じるものとの距離を広げたいときに見せる行動だと説明されています。そして、こうした行動は猫が「攻撃的」だという意味ではなく、自分の安全や、ごはん・水・寝場所・トイレ・おもちゃ・爪とぎといった資源を守ろうとして反応しているにすぎない、とも述べています。

International Cat Careは、うなる・シャーと言う・唾を吐くような音を出す・前足で払う・噛むといった行動を、不安・恐怖・欲求不満を感じた猫が脅威との距離を広げたいときに見せる「遠ざける行動」とし、それは猫が攻撃的だという意味ではなく身の安全や資源を守るための反応だと説明しています。また、こうした反応は猫の気質を反映したものではなく、望まない関わりを強いてくる人などのストレス要因への反応だとしています。

同じページには、人になでられそうになった子猫が、シャーと言いながら体重を後ろにかけ、耳を後ろに回して平らに伏せている写真が「恐怖の反応」として載っています。飼い主から見ると「威嚇された」場面ですが、猫の側から見ると「怖いから下がって」という場面だということです。

Merck Veterinary Manual(獣医師向けの専門書籍のウェブ版)も、人との距離を広げるために攻撃的な行動をとる猫がいること、接近・保定・罰など人に関わる不快な経験には学習された恐怖の要素があり、繰り返されるとエスカレートしうることを説明しています。こうした猫は、耳を後ろに倒す、体を低くする、足先を体の下にしまい込む、重心を後ろにかけるといった防御的な姿勢を見せることが多い一方で、耳を前に向けて重心を前にかける攻撃的な姿勢のほうが「効く」と学習してしまう猫もいる、とされています。

Merck Veterinary Manualは、人との距離を広げるために攻撃行動を示す猫がいること、接近・保定・罰など人に関わる不快な反応には学習された恐怖の要素があり繰り返しの経験でエスカレートしうること、耳を後ろに倒す・体を低くする・足先を体の下にしまう・重心を後ろにかけるといった防御的な姿勢が多い一方、耳を前に向け重心を前にかける攻撃的な姿勢のほうが効果的だと学習する猫もいることを説明しています。

つまり、シャーと言われた直後の対応が大事です。そこで追いかけたり押さえつけたりすると「シャーでは足りない」と学習させてしまい、次は前足や歯が出てくるかもしれません。

声と姿勢の読み方

ASPCAは、恐怖による(防御的な)攻撃の典型的な姿勢を、防御のサインと攻撃のサインの組み合わせとして説明しています。防御のサインは、身をかがめる、耳を伏せる、しっぽを巻き込む、体を引く・横に倒れる、瞳孔が開くこと。攻撃のサインは、シャーと言う・唾を吐くような音を出す、毛を逆立てる、うなる、前足で払う、噛む、引っかくことです。そして、怖いものから逃げられないときにとくに攻撃のサインが出やすく、逃げられない状況だとエスカレートすると述べています。

ASPCAは、恐怖による攻撃は猫が脅威を感じたときに起こり逃げられないとエスカレートすること、典型的な姿勢は身をかがめる・耳を伏せる・しっぽを巻き込む・体を引く・横に倒れる・瞳孔が開くといった防御のサインと、シャー・唾を吐くような音・立毛・うなり声・前足で払う・噛む・引っかくといった攻撃のサインの組み合わせであること、防御的に攻撃している猫には落ち着くまで近づかないのが最善であることを説明しています。

Cornell Feline Health Centerも、怖がっている猫の特徴として、耳を伏せて外側に向ける、ひげを平らにして顔に押しつける、しっぽを体に巻きつけるか体の下に入れることを挙げ、攻撃的な猫の特徴として、瞳孔が開く、耳を後ろに倒して頭に沿わせる、しっぽを立てて毛を逆立てる、背中を丸めることを挙げています。

見えるもの・聞こえるもの読み取りの目安その場の対応
シャー、唾を吐くような音「それ以上近づかないで」。恐怖や不安が強い動きを止め、ゆっくり下がって距離をとる
低いうなり声(ウー)緊張が続いている。次の段階へ進む手前のことがある触らない、声をかけ続けない、その場を離れる
耳を伏せる、体を低くする、しっぽを巻き込む、体を引く防御の姿勢。本当は逃げたい逃げ道をふさいでいないか確認し、通路を空ける
毛を逆立てる、背中を丸める、しっぽを立てて太くする興奮が高い状態。近づくと手が出やすい抱き上げない、間に手を入れない
大きく見開いた目でじっと見据える猫同士の衝突時にも見られる緊張の表情こちらもじっと見つめ返さず、視線をそらす

Cornell Feline Health Centerは、怖がっている猫の姿勢として耳を伏せて外側に向ける・ひげを平らにして顔に押しつける・しっぽを体に巻きつけるか体の下に入れること、攻撃的な猫の姿勢として瞳孔が開く・耳を後ろに倒して頭に沿わせる・しっぽを立てて毛を逆立てる・背中を丸めることを挙げています。

表の最後の行について補足します。International Cat Careは、猫同士の衝突の場面では目を大きく見開いて相手をじっと見据えることが多いと説明しています。人の視線を猫がどう受け取るかを直接示した一次資料は今回確認できていませんが、緊張している猫に正面からじっと視線を向け続ける理由はありません。視線を外し、体を少し横に向けて、猫が状況を判断する時間をあげるのが無難です。

表情やしっぽなど、しぐさ全般の読み方は

にまとめています。

威嚇が起きる主な場面と、その背景

Cornell Feline Health Centerは、猫の攻撃行動を、遊び、恐怖、なでられることによるもの、転嫁性、痛み、社会的な優位、縄張り、母性の8つに分類しています。シャーやうなり声が問題になる場面に当てはめると、次のように整理できます。

場面背景として考えやすいものまずやること
家族や来客に対して恐怖(知らない人・音)、なでられ過ぎ構わない、猫から近づくのを待つ、避難先を確保
保護猫を迎えた直後すべてが未知の環境への恐怖静かな1部屋で、のぞき込みと声かけを減らす
動物病院から帰ったあとにおいの変化で同居猫がよそ者扱い生活空間を一時的に分け、においを混ぜて段階的に戻す
窓の外の猫などを見たあと転嫁性攻撃(手の届かない相手への興奮の矛先が変わる)近づかない、抱き上げない、別室で落ち着かせる
触ると急に怒る、今までしなかったのに威嚇する痛み・体調不良、なでられることへの過敏さ叱らず、触る場所と反応をメモして動物病院へ

Cornell Feline Health Centerは、猫の攻撃行動を遊び・恐怖・なでられることによるもの・転嫁性・痛み・社会的地位・縄張り・母性の8種類に分け、恐怖による攻撃は新しい人や動物、物音などなじみのない刺激で起こること、なでられることによる攻撃は過剰な刺激やなでるのを終わらせたいという猫の意思によること、痛みによる攻撃は触られるのを避けようとして起こることを説明しています。

家族や来客に威嚇する

Cornell Feline Health Centerは、恐怖による攻撃が新しい人や動物、物音といったなじみのない刺激で起こると説明しています。Merck Veterinary Manualも、猫の恐怖や不安の引き金として、来客や動物病院のスタッフのようななじみのない人を挙げています。来客にシャーと言うのは、猫にとって自然な反応の範囲にあると考えてよいでしょう。

家族に対しての威嚇では、なでている最中の反応も確認したいポイントです。ASPCAは、なでられているうちに急にイライラして軽く噛んで逃げる猫の前ぶれとして、人の手のほうへすばやく頭を向ける、しっぽをピクピク動かす・パタパタ振る、耳を伏せることを挙げています。うなり声がその手前で出ているなら、なで方と時間を見直す合図です。

ASPCAは、なでられることによる攻撃の前ぶれとして、人の手のほうへすばやく頭を向ける、しっぽをピクピク動かしたり振ったりする、耳を伏せることを挙げています。

なでて喜ぶ場所と嫌がる場所の見分け方は

で詳しく扱っています。

保護猫を迎えた直後に威嚇する

迎えたばかりの保護猫にシャーと言われるのは珍しいことではありません。家も人もにおいも、すべてが初めてだからです。Cats Protectionは、迎えた猫を家に着いたら必需品をそろえた静かな部屋でキャリーから出すこと、隠れ場所から誘い出そうとしないこと、頻繁に様子を確認しに行くとかえって出てくるまでの時間が長くなることを説明しています。威嚇されたからといって、慣れさせるために毎日手を近づけるのは逆効果になりやすく、まずは「この人は近づいてこない」と猫が学べる時間をつくるのが先です。

Cats Protectionは、迎えたばかりの猫は必需品をそろえた静かな部屋でキャリーから出すこと、隠れ場所から誘い出そうとせず頻繁な確認も控えること、フード・水・トイレは近くに置くが隠れ場所の真横には置かないことを説明しています。

隠れて出てこない時期の過ごし方は

もあわせてご覧ください。

動物病院から帰った猫が、同居猫に威嚇される

「病院から連れて帰ったら、もう一匹が別の猫を見るようにシャーと言った」という場面は珍しくありません。オハイオ州立大学のIndoor Pet Initiativeは、猫は互いをにおいで認識するため、病院のにおいをまとって帰った猫を同居猫がよそ者として扱うことがあり、衝突を避けるためにゆっくり再導入が必要になる場合があると説明しています。ASPCAも、家族や来客、衣類についたほかの猫のにおいを嗅ぐことを、転嫁性攻撃の引き金の例に挙げています。

オハイオ州立大学Indoor Pet Initiativeは、帰宅時に猫の避難場所が使える状態にしておくこと、猫は互いをにおいで認識するため病院のにおいをまとって帰った猫を同居猫がよそ者として扱うことがあり、衝突を避けるためにゆっくり再導入が必要になる場合があると説明しています。

戻し方の手順は、新しい猫を迎えるときの考え方が参考になります。

  1. 1

    帰宅したら、まず別々の部屋で過ごさせる

    通院した猫は、水・ごはん・トイレ・寝床のある部屋でひと休みさせます。キャリーを開けた瞬間に同居猫と鉢合わせしないようにするのがポイントです。
  2. 2

    においを混ぜる(においの橋渡し)

    オハイオ州立大学は、新入り猫の導入でタオルを交換してにおいに慣れさせることを、Merck Veterinary Manualは、もう一方の猫に使ったブラシやタオルで毛づくろいするようにして、においから再導入を始める方法を挙げています。お互いの寝床に使っていたタオルを入れ替えるのが手軽です。
  3. 3

    ドア越しに、良いことと結びつける

    閉じたドアの両側でごはんを出し、相手のにおいと食事を結びつけます。落ち着いて食べられる距離から始めます。
  4. 4

    威嚇がなくなってから同じ部屋へ

    ドアを少し開けて姿が見える段階を経て、お互いにシャーと言わず落ち着いて見合えるようになってから、同じ空間に戻します。オハイオ州立大学は、ドアを少し開けた段階の初めのうちはお互いにシャーと言うのはよくあることで、攻撃的になったり強い敵意を見せたりした場合はドアを閉めてしばらくそっとしておくとしています。軽いシャーだけで慌てず、攻撃的になる・強く興奮するときに一段階戻ります。

オハイオ州立大学Indoor Pet Initiativeは、新入り猫の導入で、専用の部屋を用意すること、タオルを交換してにおいに慣れさせること、閉じたドアの両側で食事を与えること、ドアを少し開けて段階的に視覚的な接触を進めること、初めのうちは猫同士がシャーと言い合うのはよくあるが攻撃的になったり強い敵意を見せたりした場合はドアを閉めて数時間そっとしておくこと、シャーと言ったり興奮したりせずに見合えるようになってから対面させることを説明しています。

Merck Veterinary Manualは、攻撃行動への対応ではまずけがを防ぐことが大切で、物理的・視覚的、できればにおいの面でも猫とその対象を分けることが最重要であること、再導入はもう一方の猫に使ったブラシやタオルでそれぞれを毛づくろいするなどにおいから始め、仕切り越しに離れて食事を与える段階へ進められることを説明しています。

Cornell Feline Health Centerは、新しく来た猫や戻ってきた猫を専用の部屋に分けて段階的に慣らしていく方法を説明したうえで、この過程は猫によって数週間から数か月かかることがあるとしています。威嚇が長引くときは焦らず、ひとつ前の段階に戻してください。

注意

手術のあとなど、同居猫が傷口をなめる、しつこく追いかけるといった様子があるときは、においの問題が落ち着くまで空間を分けておくほうが安全です。通院そのもののストレスを減らす工夫は

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猫が動物病院・通院を嫌がる|キャリーに入らない理由と克服のコツ

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窓の外の猫を見たあとに、人や同居猫へ矛先が向く(転嫁性攻撃)

窓辺で外を見ていた猫が、急に近くの家族の足に噛みついた。あるいは隣にいた同居猫に飛びかかった。こうした「理由のない攻撃」に見えるものの多くが、転嫁性攻撃(redirected aggression)です。

Merck Veterinary Manualは、外にいるほかの猫や大きな物音のように、猫が近づくことのできない刺激で興奮が高まった場合、その攻撃が近づいてきた人や近くにいる人、あるいは近づいてきたほかの猫に向け直されることがあると説明しています。ASPCAは、転嫁性攻撃を「噛み方に手加減がないため、おそらく最も危険なタイプ」とし、引き金の例として、ドアや窓越しにほかの猫を見ること、家族や来客、衣類についたほかの猫のにおいを嗅ぐことなどを挙げています。さらに、最初に興奮してから矛先が向くまでにかなりの時間差があることがあり、それが数時間に及ぶこともあるとしています。

ASPCAは、転嫁性攻撃は噛み方に手加減がないためおそらく最も危険なタイプであること、引き金の例としてドアや窓越しにほかの猫を見る、家族・来客・衣類についたほかの猫のにおいを嗅ぐことなどがあること、最初の興奮から矛先が向くまでに数時間に及ぶ時間差がありうること、転嫁性の攻撃は興奮した猫に近づいたときや近くに誰かがいるときにだけ起こり猫が攻撃相手を探し回るわけではないこと、猫のけんかを止めに入ったり防御的・攻撃的な姿勢の興奮した猫に近づいたりするのは決して良い考えではないことを説明しています。

International Cat Careも、窓越しに見えるほかの猫や犬のように手の届かない外部の脅威によって、本来その脅威に向けるはずの行動が同居猫に向けられることがあり、その結果、2匹の関係が修復できないほど損なわれてしまう場合もあると述べています。

  1. 1

    興奮している猫には近づかない、抱き上げない

    ASPCAは、転嫁性の攻撃は興奮した猫に近づいたときや近くに誰かがいるときにだけ起こり、猫が攻撃相手を探し回るわけではないとしています。なだめようと手を伸ばしたり、抱っこしたりしないでください。
  2. 2

    触らずに別々の部屋へ分ける

    International Cat Careは、同居猫同士でこれが起きた場合、抱き上げたり触ったりせずに2匹を別々の部屋に分け、両方が落ち着くまで24〜48時間置くようすすめています。ドアを閉める、クッションや板で間を仕切るなど、手を出さない方法で分けます。
  3. 3

    引き金を見えなくする

    外の猫が見える窓は、しばらくカーテンを閉める、下半分に目隠しを貼るなどして、同じ興奮が繰り返されないようにします(この具体策は筆者の工夫で、出典の記載ではありません)。
  4. 4

    再会でもけんかになるなら、動物病院と専門家へ

    International Cat Careは、再会させてもけんかになる場合は両方の猫を動物病院で健康チェックし、臨床動物行動学の専門家への紹介を相談するようすすめています。

International Cat Careは、窓越しに見えるほかの猫や犬など手の届かない外部の脅威がきっかけで同居猫に攻撃が向くことがあり関係が修復不能になる場合もあること、その場合は抱き上げたり触ったりせずに別々の部屋に分けて24〜48時間落ち着かせること、再会後もけんかになるなら両方を動物病院で健康チェックし臨床動物行動学の専門家への紹介を相談すること、けんかの最中や直後に猫を抱き上げたり関わったりするとひっかかれたり噛まれたりする危険が高く、けがをしたらすぐに医療機関を受診することを説明しています。

注意

転嫁性攻撃で噛まれた・深く引っかかれた場合は、軽く見えても医療機関の受診を考えてください。International Cat Careは、けんかの最中や直後に猫を抱き上げたり関わったりすると引っかかれたり噛まれたりする危険が高く、けがをした場合はすぐに医療機関に相談することが大切だとしています。ASPCAも、猫は噛みついて深い裂傷を負わせることがあり、その傷は痛みが強く感染しやすいと説明しています。

同居猫同士の関係がこじれてしまったときの立て直しは

で詳しく扱っています。

触ると怒る、今までしなかったのに急に威嚇する

いちばん見落としたくないのがこの場面です。Merck Veterinary Manualは、痛みや不快感、いら立ちが猫の攻撃行動につながることがあり、そのサインは恐怖による攻撃と似て見えること、触られたり動かされたりすることがよく引き金になることを説明しています。Cornell Feline Health Centerも、痛みのある猫は触られるのを避けようとして人やほかのペットに攻撃的になることがあると述べ、行動への対応を始める前に、攻撃行動に医学的な原因がないことを確認するよう書いています。

Merck Veterinary Manualは、痛み・不快感・いら立ちが猫の攻撃行動につながることがあり、そのサインは恐怖による攻撃と似て見え、触られたり動かされたりすることがよく引き金になると説明しています。

原因として挙げられている病気は出典によって少しずつ異なります。

出典攻撃行動の原因・一因として挙げられている病気や状態
Cornell Feline Health Center甲状腺機能亢進症、変形性関節症、歯の病気、中枢神経系の問題
ASPCAトキソプラズマ症、甲状腺機能亢進症、てんかん、膿瘍、関節炎、歯の病気、狂犬病、外傷、高齢猫の感覚の衰えや認知機能不全

Cornell Feline Health Centerは、行動への対応の前に攻撃行動に医学的な理由がないことを確認するよう述べ、甲状腺機能亢進症・変形性関節症・歯の病気・中枢神経系の問題を例に挙げています。対応しきれない攻撃行動については獣医行動学の専門医への相談が必要になる場合があるとしています。

ASPCAは、猫の攻撃行動の原因や一因になりうる病気としてトキソプラズマ症・甲状腺機能亢進症・てんかん・膿瘍・関節炎・歯の病気・狂犬病・外傷・高齢猫の感覚の衰えや認知機能不全を挙げ、まず動物病院で医学的な原因を除外するようすすめています。

甲状腺機能亢進症について、International Cat Careは典型的なサインとして、体重減少、良好または増加した食欲、飲水量の増加、活動性の増加・落ち着きのなさ・怒りっぽさ、心拍数の増加、毛づやの悪化を挙げ、中高齢の猫に多く7歳未満ではまれとしています。「よく食べるのに痩せてきた」「最近やたらと落ち着きがなく、触るとうなる」という組み合わせは、行動の問題として片づける前に相談したいサインです。ただし同じページでは、多くの猫は食欲がよく落ち着きがなくなる一方で、一部の猫では逆に全身の衰弱、元気のなさ、食欲の低下が見られることもあると説明されています。「食べないし元気がない」高齢猫も、甲状腺の病気が除外されたわけではありません。

International Cat Careは、甲状腺機能亢進症の典型的なサインとして体重減少、良好または増加した食欲、飲水量の増加、活動性の増加・落ち着きのなさ・怒りっぽさ、心拍数の増加、毛づやの悪化を挙げ、中高齢の猫に多く7歳未満ではまれだとしています。また、多くの猫は食欲がよく落ち着きがない一方、一部の猫では全身の衰弱・元気消失・食欲低下が見られることもあるとしています。

動物病院に相談したい威嚇・うなり声のサイン

  • 今まで威嚇しなかった猫が、ここ数日から数週間で急に威嚇やうなり声を出すようになった
  • 体の特定の場所(腰、背中、口まわり、足など)を触ったときだけ怒る
  • 抱き上げる、段差を下りる、トイレに入るといった動作のあとにうなる
  • よく食べるのに痩せてきた、水を飲む量が増えた、落ち着きがない
  • 食欲が落ちた、口を気にする、よだれが増えた、片側だけで噛む
  • 隠れて出てこない時間が増え、呼んでも反応が鈍い
  • 高齢で、夜中に鳴く・うろうろするなどの変化も同時に出てきた
  • 同居猫とのけんかのあと、隠れる・元気がない・足を引きずる・食べない

注意

ここに挙げたサインは受診を考える目安であり、診断ではありません。痛みや病気が隠れているときに叱ったり押さえつけたりすると、猫の苦痛と恐怖を重ねることになります。受診時は、威嚇が始まった時期、怒る場面(触る場所・動作)、食欲・飲水・排泄・体重の変化をメモして伝えると、獣医師が判断しやすくなります。

関節の痛みのサインと、甲状腺機能亢進症については、次の記事も参考にしてください。

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威嚇されたときの基本の対応

場面ごとの違いはあっても、軸は共通です。猫が「距離をとりたい」と伝えているので、その要求をかなえてあげること。そして、次に同じ状況になっても猫が逃げられる環境をつくっておくことです。

  1. 1

    動きを止め、視線をそらし、ゆっくり下がる

    急な動きは脅威に見えやすいため、まず止まります。正面からじっと見つめ返さず、体を少し横に向けて、ゆっくり距離をとります。ASPCAは、防御的に攻撃している猫には落ち着くまで近づかないのが最善だとしています。
  2. 2

    叱らない、大声を出さない、罰を与えない

    Cornell Feline Health Centerは、どんな種類の体罰も猫の恐怖や不安を強め攻撃を悪化させうるとし、ASPCAも、痛みを与える罰は猫の行動を変えるのに効果がないだけでなく、痛みによる攻撃を引き起こし、恐怖や縄張りによる攻撃を悪化させうると述べています。「シャーと言ったら怒られた」は、猫にとって「人はやっぱり怖い」という学習にしかなりません。
  3. 3

    逃げ道と隠れ家を確保する

    ASPCAは、恐怖による攻撃は逃げられないとエスカレートするとしています。部屋の出入口をふさがない、猫の後ろに回り込まない、高い場所や箱など隠れられる場所を複数用意しておくことが予防になります。
  4. 4

    猫が落ち着いてから、猫のペースで関係を戻す

    落ち着いたあとも、しばらくは猫から近づいてくるのを待ちます。近づいてきたら、おやつや遊びなど猫が好きなことで良い印象を重ねます。
  5. 5

    繰り返すなら、場面を記録して相談する

    いつ、どこで、誰に、何の直後に威嚇したかを書き留めておくと、痛みなのか、恐怖なのか、転嫁性なのかの見分けに役立ちます。

Cornell Feline Health Centerは、早めの介入が最善であること、どんな種類の体罰も猫の恐怖や不安を強め攻撃を悪化させうること、猫が攻撃的になるとわかっている状況を避けることを挙げています。

逃げ場と隠れ家の考え方

AAFPとISFMが2013年にJournal of Feline Medicine and Surgery誌で発表した環境ニーズガイドラインは、猫の環境ニーズを5つの柱に整理しており、第1の柱が「安全な場所を用意すること」です。VCAによる解説では、多くの猫は高い位置にある安全な場所が役立つこと、段ボール箱・キャリー・止まり木・隠れ穴などが例であること、多頭飼いでは1匹が閉じ込められないよう出入口が複数ある場所を検討すること、安全な場所は少なくとも猫の頭数分用意することが紹介されています。

American Association of Feline Practitioners(AAFP)は、AAFPとISFMによる2013 AAFP/ISFM Environmental Needs GuidelinesがJournal of Feline Medicine and Surgeryの2013年3月号に掲載されたことを公表しています。

VCA Animal Hospitalsは、AAFPとISFMの環境ニーズガイドラインが5つの柱に整理されていること、第1の柱が安全な場所の提供で多くの猫は高い位置にあると役立つこと、段ボール箱・キャリー・止まり木・隠れ穴が例であること、多頭飼いでは出入口が複数ある場所にして1匹が閉じ込められないようにすること、安全な場所は少なくとも猫の頭数分用意することを解説しています。

International Cat Careも、多くの猫は高い見晴らしのよい場所から様子をうかがうことを好み、それが安心感につながるとして、家じゅうに高い居場所を用意すること、邪魔されずに休めるプライベートな休憩場所や隠れ場所を用意することをすすめています。さらに、猫同士のけんかは、うまく隠れたり逃げたりできない、つまり逃避や回避の機会がないときに起こりうるとしています。威嚇が出る家ほど、「逃げ込める先」が足りているかを見直す価値があります。

International Cat Careは、猫がうまく隠れたり逃げたりできず逃避や回避の機会がないとけんかが起こりうること、多くの猫は高い見晴らしのよい場所から様子を見ることを好み安心感につながるため高い居場所を用意すること、邪魔されずに休めるプライベートな休憩場所や隠れ場所を用意することを説明しています。

迎えたばかりのころは、ごはんを置きに部屋へ入るたびにシャーと言われていた。つい「大丈夫だよ」と話しかけながら近づいていたのをやめて、入ったら目を合わせずにごはんを置いてすぐ出る、を繰り返すうちに、日を追うごとにシャーが減っていった — こうした語りは、保護猫を迎えた家でよく聞かれます。慣れるまでの期間には個体差が大きく、どの猫も同じように進むとは限りません。
保護猫を迎えた直後によく聞かれる声(特定の個人の体験談ではありません)

してはいけない接し方

威嚇されたときにやりがちなNG

  • 「こら」と大声で叱る、叩く、水をかける(恐怖が強まり、攻撃が悪化しうる)
  • 慣れさせるために手を差し出し続ける、無理に抱っこする
  • 隠れた場所から引っ張り出す、逃げ道をふさいで追い詰める
  • 窓辺で興奮している猫をなだめようと抱き上げる(転嫁性攻撃で噛まれやすい)
  • けんか中の猫の間に手を入れて止める
  • 病院帰りの猫をすぐに同居猫のいる部屋に放す
  • 急に威嚇が始まったのに「性格が変わった」と様子見を続ける
  • シャーと言われたことを根に持って、猫を避け続けたり態度を変えたりする(落ち着いたら普段どおりに)

威嚇は猫にとってけんかを避けるための手段でもあります。シャーと言えば相手が下がってくれる経験を重ねた猫は、前足や歯を使う必要がありません。反対に、シャーを無視され続けた猫は、次にもっと強い手段を選ぶかもしれません。噛みつきにまで進んでしまったときの対応は

にまとめています。

よくある質問

シャーと言われたのは、嫌われたからですか
多くの場合、そうではありません。International Cat Careは、シャーやうなり声は不安・恐怖・欲求不満を感じた猫が相手との距離を広げたいときに出す行動で、猫が攻撃的だという意味ではないと説明しています。その瞬間の状況(急に手が伸びてきた、逃げ場がなかった、どこかが痛かったなど)への反応として受け止め、距離をとって落ち着くのを待ってください。
シャーと言ったら叱ってやめさせるべきですか
叱らないでください。Cornell Feline Health Centerは、どんな種類の体罰も猫の恐怖や不安を強め攻撃を悪化させうるとしています。Merck Veterinary Manualも、罰を含む人との不快な経験には学習された恐怖の要素があり、繰り返されるとエスカレートしうると説明しています。威嚇を封じると、前ぶれなしに噛む猫にしてしまうおそれがあります。
病院から帰ってきた猫に、同居猫がずっと威嚇します。いつ戻せばよいですか
決まった日数の目安は出典で確認できていません。オハイオ州立大学は、病院のにおいで同居猫がよそ者として扱うことがあり、ゆっくり再導入が必要な場合があるとしています。別室で過ごさせ、タオルの交換などでにおいを混ぜ、ドア越しの食事、ドアを少し開けての対面と段階を踏み、威嚇やうなり声が出なくなってから同じ部屋に戻すのが安全です。長引く、けんかになる場合は動物病院に相談してください。
窓の外を見ていた猫に急に噛まれました。何が起きたのですか
転嫁性攻撃の可能性があります。Merck Veterinary Manualは、外の猫や大きな音など近づけない刺激で興奮した猫が、近くの人やほかの猫に攻撃を向け直すことがあると説明しています。ASPCAは噛み方に手加減がないため最も危険なタイプとし、興奮から矛先が向くまで数時間の時間差がありうるとしています。興奮している猫には近づかず、落ち着くまで別室で過ごさせ、外の猫が見えないよう窓の視界を工夫してください。噛まれた傷は感染しやすいため、医療機関の受診も考えてください。
シニア猫が最近、触ると怒るようになりました。年のせいでしょうか
年齢のせいと決めつけず、動物病院に相談してください。Merck Veterinary Manualは、痛みや不快感が攻撃行動につながり、触られたり動かされたりすることが引き金になりやすいとしています。Cornell Feline Health Centerは甲状腺機能亢進症・変形性関節症・歯の病気などを攻撃行動の医学的な原因の例に挙げ、ASPCAは高齢猫の感覚の衰えや認知機能不全も挙げています。どこを触ると怒るか、食欲や体重の変化があるかをメモして受診するとスムーズです。

まとめ

猫のシャーやうなり声は、「これ以上近づかないで」という防御のサインとして読むのが出発点です。International Cat Careが説明するように、それは猫が攻撃的な性格だという意味ではなく、不安や恐怖を感じて距離を広げたいときの反応です。だからこそ、威嚇されたら動きを止めて視線をそらし、ゆっくり下がる。叱らず、大声を出さず、逃げ道と隠れ家を確保する。この基本はどの場面でも変わりません。

そのうえで、場面ごとの背景を見分けます。来客や迎えたばかりの保護猫なら恐怖が中心なので、構わずに猫のペースを待つ。病院帰りに同居猫が威嚇するならにおいの変化が一因なので、部屋を分けてにおいを混ぜながら段階的に戻す。窓の外の猫を見たあとの転嫁性攻撃は噛み方に手加減がなく危険なので、抱き上げず、触らずに別室で落ち着かせる。そして、触ると怒る、今までしなかったのに急に威嚇するようになったときは、痛みや甲状腺機能亢進症などの体の不調も考えて、行動の問題として扱う前に動物病院へ相談してください。

出典・参考

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