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猫の甲状腺機能亢進症のサインと治療|シニア猫に多い・食べても痩せるに気づく

対象の目安: シニア(7歳〜)

ミオ食事・健康担当
・ 約17分で読めます
猫の甲状腺機能亢進症のサインと治療|シニア猫に多い・食べても痩せるに気づく

「最近よく食べるのに、なんだか痩せてきた」「やたらと活発で、夜中もよく鳴く」。シニア猫にこうした変化が重なったとき、その裏に甲状腺機能亢進症が隠れていることがあります。甲状腺ホルモンが過剰になって全身の代謝が異常に高まる病気で、7歳を過ぎたころから増えてくる、猫では代表的な内分泌の病気です。糖尿病と同じく「食べても痩せる」病気ですが、仕組みはまったく別物です。この記事では、家庭で気づきたいサインと診断・治療の流れ、そして治療で気をつけたいことを、出典を確認しながら落ち着いて整理します。診断と治療は必ず動物病院で行うものですが、まず全体像を知る手がかりにしてください。

猫の甲状腺機能亢進症とは|シニア猫に多い内分泌の病気

甲状腺機能亢進症は、のどのあたりにある甲状腺の働きが過剰になり、甲状腺ホルモンの分泌が増えてしまう病気です。甲状腺ホルモン(T4)は全身の代謝を調整する役割を持つため、これが多すぎると体の各所が「アクセルを踏みっぱなし」のような状態になり、さまざまな不調につながります。アニコム損保の解説では、片側または両側の甲状腺組織の過形成や腫瘍化によって甲状腺が大きくなって発症し、その多くは良性で、悪性のものは2%未満とされています。

甲状腺の機能が亢進して甲状腺ホルモンの分泌が増加する病気であること、片側または両側の甲状腺組織の過形成や腫瘍化で甲状腺が大きくなって発症すること、腫瘍の多くは良性で悪性のものは2%未満であることについて。アニコム損保 猫との暮らし大百科より。

この病気は、とくに高齢の猫で目立ちます。アニコム損保の解説では、10歳以上(報告によっては7歳以上)の猫を調べると10%以上がこの病気を持っているとされ、シニア期の健康診断でこの病気を調べる血液検査を勧められることも多いと説明されています。petcleの解説でも、9歳以上の猫の約10〜17%が発症し、発症時の平均年齢は12〜13歳、10歳未満での診断は5%未満とされています。「うちの子はもうシニアだから」という猫ほど、意識しておきたい病気です。

10歳以上(報告によっては7歳以上)の猫を調べると10%以上がこの病気を持っていること、シニア期の健康診断でこの病気を診断できる血液検査を勧められることも多いことについて。アニコム損保 猫との暮らし大百科より。

9歳以上の猫の約10〜17%が発症すること、発症時の平均年齢が12〜13歳であること、10歳未満での診断は5%未満であることについて。petcleより。

家庭で気づきたいサイン|「食べているのに痩せる」

甲状腺機能亢進症のサインは、代謝が高まることで表れます。なかでも見逃したくないのが、食欲は旺盛なのに体重が減っていくという組み合わせです。アニコム損保の解説では、食欲は異常に増加するのに痩せてくること、行動が非常に活発になって落ち着きがなくなること、多飲多尿、脱毛や毛づやの悪化、嘔吐や下痢、よく鳴くようになり大きな声で叫ぶような鳴き方をすることが挙げられています。petcleの解説でも「よく食べるのに痩せる」が最も特徴的とされ、攻撃的になるなど性格の変化、心拍数が速くなること、高血圧なども挙げられています。

食欲は異常に増加するのに痩せてくること、行動が非常に活発になり落ち着きがなくなること、多飲多尿、脱毛や毛づやの悪化、嘔吐や下痢、よく鳴くようになり大きな声で叫ぶような鳴き方をすることについて。アニコム損保 猫との暮らし大百科より。

「よく食べるのに痩せる」が最も特徴的な症状であること、攻撃的になるなどの性格の変化、心拍数が速くなること、高血圧がみられることについて。petcleより。

年をとった猫が活発になったり食欲が増したりすると、つい「元気になった」と受け止めてしまいがちですが、その裏に病気が隠れていることもあります。ふだんの体重や飲水量、鳴き方、落ち着きの様子を軽く記録しておくと、小さな変化に気づきやすくなります。飲水量やおしっこの変化の見方は

にもまとめています。

家庭で気づきたい甲状腺機能亢進症のサイン

  • 食欲は旺盛なのに、体重が減ってきた・痩せてきた
  • 水を飲む量やおしっこの量が増えてきた
  • やたらと活発で落ち着きがない、攻撃的・怒りっぽくなった
  • よく鳴く、大きな声で叫ぶように鳴くことが増えた
  • 毛づやが悪くなった、被毛が乱れている
  • 嘔吐や下痢が増えた、心臓がドキドキ速く打っている

同じ「食べても痩せる」でも、糖尿病とは仕組みが異なります。両者を見分けるのは家庭では難しいので、気になる変化があれば動物病院での検査が近道です。糖尿病のサインについては

もあわせて参考にしてください。

診断は動物病院で|血液検査(T4)で調べる

こうしたサインに気づいても、家庭で甲状腺機能亢進症かどうかを判断することはできません。アニコム損保の解説では、血液検査で甲状腺ホルモンの数値を調べることで診断し、T4が明らかな高値の場合に甲状腺機能亢進症と診断されるとされています。petcleの解説でも、血液検査で甲状腺ホルモン(T4)を測定し、基準値より高ければ診断されると説明されています。

血液検査で甲状腺ホルモンの数値を調べて診断すること、T4が明らかな高値の場合に甲状腺機能亢進症と診断されることについて。アニコム損保 猫との暮らし大百科より。

血液検査で甲状腺ホルモン(T4)を測定し、基準値より高ければ診断されることについて。petcleより。

大切なのは、市販のサプリや食事の工夫で「様子を見よう」としないことです。似た症状は糖尿病や慢性腎臓病など別の病気でも起こり、それらが同時に隠れていることもあります。シニア猫で気になるサインがあれば、まず動物病院に相談してください。

治療の選択肢|内服・療法食・放射性ヨウ素・手術

治療にはいくつかの選択肢があり、猫の状態や合併症の有無をふまえて選ばれます。まずは全体像を整理します。

治療法内容特徴
抗甲状腺薬(内服)甲状腺ホルモンの産生を抑える薬を飲む導入しやすい第一選択。一般的に一生涯の投薬が必要で、副作用に注意
療法食(ヨウ素制限)ホルモンの材料になるヨウ素を抑えた食事副作用が少ない一方、他のごはんを食べさせにくい。製品の入手状況は変わることがある
放射性ヨウ素治療過剰な甲状腺の組織を放射性ヨウ素で処置根治が期待できるが、実施できる施設が限られる
甲状腺の摘出手術大きくなった甲状腺を外科的に取り除く根治が期待できるが麻酔・手術のリスクがあり、術後の管理が必要

多くの場合、まずは抗甲状腺薬の内服から始めます。アニコム損保の解説では、抗甲状腺薬の内服は一般的に一生にわたっての投薬が必要で、副作用として食欲不振・嘔吐・下痢・皮膚炎・血小板減少・肝毒性がみられることがあるとされています。越谷どうぶつ病院の解説でも、抗甲状腺薬としてメチマゾール(チアマゾール)が用いられると説明されています。

抗甲状腺薬の内服は一般的に一生にわたっての投薬が必要で、副作用として食欲不振・嘔吐・下痢・皮膚炎・血小板減少・肝毒性がみられることがあること、耳の内側に塗る経皮のメチマゾール(チアマゾール)外用薬は海外薬で日本では一般的でないこと、ヨウ素を抑えた療法食で症状を抑えられる場合があること、内科治療の継続が難しい場合などに甲状腺の摘出手術が検討され、両側を摘出した場合は生涯にわたり甲状腺ホルモン薬の投与が必要になることについて。アニコム損保 猫との暮らし大百科より。

食事療法は、甲状腺ホルモンの材料となるヨウ素を制限した療法食を使う方法です。petcleの解説では、ヨウ素制限食は4〜8週で約65〜75%、8〜12週で約90%まで甲状腺機能が正常化し、副作用が少なく安全性が高い一方、好き嫌いのある猫には不向きとされています。ただし、越谷どうぶつ病院の解説では同院で使っていた療法食が終売になったことにも触れられており、製品の入手状況は変わることがあります。療法食を検討する際は、最新の入手状況をかかりつけの動物病院で確認してください。

抗甲状腺薬が最も一般的で導入しやすいが生涯投薬が必要で副作用に注意が必要なこと、ヨウ素制限食が4〜8週で約65〜75%・8〜12週で約90%まで甲状腺機能を正常化させ副作用が少なく安全性が高い一方、好き嫌いのある猫には不向きなこと、外科治療は根治が期待できるが麻酔・手術のリスクや術後の甲状腺機能低下症の可能性があることについて。petcleより。

抗甲状腺薬としてメチマゾール(チアマゾール)が用いられること、同院で使っていた療法食が終売になったこと、片側の腫大であれば外科手術が適応となる場合があり同院でも実施していること、放射性ヨウ素治療は実施施設が限られることについて。越谷どうぶつ病院より。

より根治的な方法として、放射性ヨウ素治療や甲状腺の摘出手術があります。越谷どうぶつ病院の解説では、放射性ヨウ素治療は実施できる施設が限られること、片側の腫大であれば外科手術が適応となる場合があることが説明されています。アニコム損保の解説では、両側の甲状腺を摘出した場合には生涯にわたり甲状腺ホルモン薬の投与が必要になるとされています。どの治療が向くかは、合併症の有無や年齢によって変わります。自己判断で薬を使ったり中断したりせず、治療方針は必ず動物病院で相談して決めてください。

注意

抗甲状腺薬をはじめとする治療は、猫の状態や合併症の有無をふまえて量や続け方が細かく調整されます。人用の薬や以前に処方された薬の残りを自己判断で与えたり、良くなったように見えるからと投薬を勝手にやめたりしないでください。投薬中に食欲不振・嘔吐・下痢・元気消失などがみられたら、様子を見ずにかかりつけの動物病院へ連絡しましょう。

治療で気をつけたいこと|隠れていた腎臓病(CKD)が表れることも

甲状腺機能亢進症の治療で見落とせないのが、慢性腎臓病(CKD)との関係です。アニコム損保の解説では、甲状腺ホルモンの作用によって腎臓の循環血流量が増えるため慢性腎臓病を隠してしまうことが多く、甲状腺の治療を行った結果、腎臓病の症状が表面化することがあると説明されています。つまり、治療で代謝が整うと、それまで隠れていた腎臓の不調が見えてくることがあるのです。同解説では、肥大型心筋症などの心疾患や腎不全を併発していることも多く、外科手術の前には内科治療を行って腎不全が顕在化しないかを確認するのが望ましいとされています。

甲状腺ホルモンの作用で腎臓の循環血流量が増えるため慢性腎臓病を隠してしまうことが多く、甲状腺の治療を行った結果に症状が表面化することがあること、肥大型心筋症などの心疾患や腎不全を併発していることも多いこと、外科手術の前に内科治療を行って腎不全が顕在化しないか確認することが望ましいことについて。アニコム損保 猫との暮らし大百科より。

petcleの解説でも、治療開始後に隠れていた腎臓病が表面化することがあるとされ、高血圧を併発すると眼底出血や網膜剥離により突然失明することもあること、心拍数が増加して長期放置すると肥大型心筋症を発症し、胸水や肺水腫で呼吸困難に至る可能性があることが説明されています。だからこそ、治療は始めて終わりではなく、その後の変化を追うモニタリングが大切になります。越谷どうぶつ病院の解説では、腎臓病や心臓病と同時に発生しやすいため総合的な管理が大切とされ、体重測定(週1回)、飲水量のチェック、嘔吐の回数や食欲の記録が勧められています。

治療開始後に隠れていた腎臓病が表面化することがあること、高血圧を併発すると眼底出血や網膜剥離により突然失明することがあること、心拍数が増加し長期放置で肥大型心筋症を発症し胸水や肺水腫で呼吸困難に至る可能性があることについて。petcleより。

腎臓病や心臓病と同時に発生しやすいため総合的な管理が大切であること、モニタリングとして体重測定(週1回)・飲水量のチェック・嘔吐の回数や食欲の記録が勧められることについて。越谷どうぶつ病院より。

腎臓病との関わりが深いこの病気では、腎臓のケアも並行して意識しておくと安心です。慢性腎臓病の早期発見や日々のケアについては

も参考になります。

早期発見のカギはシニア期の定期健診

甲状腺機能亢進症は、初期には「元気で食欲もある」ように見えるため、家庭では気づきにくい病気です。だからこそ、症状が進む前にとらえる定期健診が力になります。petcleの解説では、10歳を過ぎたら年に1〜2回の血液検査で甲状腺ホルモンを測定することが勧められています。アニコム損保の解説でも、シニア期の健康診断でこの病気を診断できる血液検査を勧められることが多いとされています。

10歳を過ぎたら年に1〜2回の血液検査で甲状腺ホルモンを測定することが勧められることについて。petcleより。

シニア期は甲状腺だけでなく、腎臓や心臓、血圧などをまとめて確認しておきたい時期です。健診でT4を含む血液検査を受けておくと、変化を早くとらえて猫の負担を抑えやすくなります。健診の考え方は

、シニア期の見守り全般は

あわせて読みたい

シニア猫(7歳〜)の老化サインと健康管理、家庭でできる見守りと環境調整

もあわせて参考にしてください。

13歳の愛猫が、よく食べるのに痩せてきて、夜中に大声で鳴くようになりました。健診でT4が高く、甲状腺機能亢進症と分かって内服を始めたら、体重が戻って行動も落ち着きました。治療を始めてから腎臓の数値も注意して診てもらっています。定期検査の大切さを実感しました。

よくある質問

食べているのに痩せてきました。糖尿病と甲状腺機能亢進症、どちらでしょうか
どちらも『よく食べるのに痩せる』サインが出る病気ですが、仕組みは別で、家庭で見分けることはできません。甲状腺機能亢進症は血液検査でT4を測ることで診断されます。糖尿病は血糖値などを調べます。シニア猫で痩せてきたら自己判断せず、まず動物病院で検査を受けてください。
シニアになって活発になり、よく鳴きます。年のせいでしょうか
高齢の猫が活発になったり食欲が増したりすると『元気になった』と受け止めがちですが、甲状腺機能亢進症では行動が非常に活発になって落ち着きがなくなる、よく鳴く、といった変化がみられるとされています。体重が減っていないか、飲水量が増えていないかもあわせて確認し、気になるときは動物病院に相談しましょう。
内服薬と療法食、どちらの治療がよいですか
猫の状態や合併症の有無によって向き不向きが変わるため、一概には決められません。抗甲状腺薬の内服は導入しやすい第一選択ですが一般的に生涯投薬が必要で、療法食はヨウ素を制限した食事で副作用が少ない一方、他のごはんを食べさせにくいという面があります。より根治的な放射性ヨウ素治療や手術という選択肢もあります。かかりつけの動物病院で相談して決めてください。
治療を始めたら腎臓が悪いと言われました。どういうことですか
甲状腺ホルモンには腎臓の血流を増やす作用があり、慢性腎臓病を隠してしまうことがあります。治療で代謝が整うと、それまで隠れていた腎臓病が表面化することがあるためです。珍しいことではなく、だからこそ治療後も体重や飲水量、血液検査で経過を追うモニタリングが大切になります。かかりつけ医の指示に沿って定期的に確認しましょう。

まとめ

猫の甲状腺機能亢進症は、甲状腺ホルモン(T4)が過剰になって代謝が異常に高まる、シニア猫に多い内分泌の病気です。最も特徴的なサインは「よく食べるのに痩せる」で、多飲多尿、落ち着きのなさや攻撃性、よく鳴く、毛づやの低下、嘔吐や下痢などもあわせて表れます。高齢の猫では元気や食欲の増加を「調子がよい」と受け止めがちですが、その裏に病気が隠れていることもあります。診断は動物病院の血液検査(T4)で行うもので、家庭で判断したり市販品でしのごうとしたりせず、まず受診してください。治療は抗甲状腺薬の内服、ヨウ素を制限した療法食、放射性ヨウ素治療、甲状腺の摘出手術から、猫の状態に応じて選ばれます。治療で代謝が整うと隠れていた慢性腎臓病(CKD)が表面化することがあり、心臓や血圧への影響もあるため、定期的なモニタリングが欠かせません。シニア期には年1〜2回の血液検査を含む定期健診で、早めに変化をとらえてあげましょう。

出典・参考

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