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保護依頼の主因は「高齢飼い主の入院・死亡」に|全国犬猫保護活動実態白書2026の読み方と、飼い主の「もしも」への備え

対象の目安: 全ライフステージ

ソラ・編集長 / 住環境・多頭飼い担当
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保護依頼の主因は「高齢飼い主の入院・死亡」に|全国犬猫保護活動実態白書2026の読み方と、飼い主の「もしも」への備え

猫が保護団体にやって来る理由と聞くと、多くの人は野良猫が外で子猫を産み、その子猫が保護される場面を思い浮かべるのではないでしょうか。ところが、2026年9月に公開された民間保護団体の調査では、保護依頼が増えた団体が挙げた要因のトップは「高齢飼い主の入院・死亡」でした。家の中で大切に飼われていた猫が、飼い主の急な入院や死去をきっかけに行き場を失う。これは特別な誰かの話ではなく、猫と暮らすすべての人に起こりうることです。この記事では、白書の数字を母数や設問の意味まで含めて丁寧に読み解いたうえで、飼い主が今日から始められる「もしも」の備えを順番にまとめます。

「全国 犬猫保護活動 実態白書2026」とは

この白書は、国産ペットフードの販売や往診クリニックなどを手がける犬猫生活株式会社が、「第1回 保護活動の構造的課題の把握のための、民間保護活動の実態調査」として実施した調査の結果をまとめたものです。同社は、9月20日〜26日の動物愛護週間を前に、2026年9月8日から白書をPDFで公開しています。

PR TIMESの発表によると、調査期間は2026年6月9日〜7月27日、調査方法はオンラインのアンケート調査フォームによる回答収集、調査対象は全国の保護犬・保護猫の保護・譲渡活動を行う個人および団体、回答総数は120団体です。発表では、行政の公式統計で犬猫の収容数や殺処分数が減少傾向を示す一方、民間の現場では約半数の保護団体が保護依頼の持ち込み件数が増加していると回答したこと、保護が必要となる背景が従来の「野良犬・野良猫の繁殖」から「飼い主の高齢化や多頭飼育崩壊」といった人間の生活・福祉課題へ移りつつあることが述べられています。

この調査は日本経済新聞でも2026年9月19日に「犬猫の保護依頼『増えた』半数 民間の120団体に調査」という見出しで報じられました(記事本文は有料のため、この記事では見出し以上の内容には触れません)。

回答団体の内訳も押さえておきます。白書によると、猫のみを保護する団体が55.8%で過半数を占め、犬猫両方を保護する団体と合わせると約9割が猫を保護しています。つまり、この調査で語られている現場の多くは、猫の保護の現場です。

数字を読む前に知っておきたい3つの注意点

白書の数字はインパクトがありますが、そのまま「日本全体の猫の保護の実態」と読み替えるのは避けたほうがよいでしょう。読み方のポイントを3つ整理します。

1. 母数は120団体で、回答は自発的な参加

回答総数は120団体です。全国にどれだけの民間保護団体・個人ボランティアがいるのかという母集団の規模は、白書では示されていません(未確認)。また、オンラインのアンケートフォームに自ら回答した団体の集計なので、問題意識の強い団体や、発表元と接点のある団体が多く含まれている可能性は否定できません。これは調査の価値を下げるものではありませんが、割合の数字は「回答した120団体の中では」という前提つきで読む必要があります。

2. 設問ごとに母数が変わる

いちばん注目される「高齢飼い主の入院・死亡」87.9%は、120団体全体の数字ではありません。白書PDFの設問は「直近1年の依頼が『増加している』主な要因は何だと感じますか?」で、対象は依頼が増加している団体に限られています。グラフには87.9%に対して51団体という実数が添えられており、ここから逆算すると母数はおよそ58団体です(48.4%の団体が増加と回答した数とも整合します)。つまり「増加したと答えた約58団体のうち51団体が、高齢飼い主の入院・死亡を要因に挙げた」という意味になります。

同じように、多頭飼育崩壊の背景を示す82.0%や63.9%は、団体数ではなく「対応した個人宅における多頭飼育崩壊事案」を母数にした数字で、白書には複数回答可と明記されています。

3. 要因は「感じ方」を尋ねた設問で、複数回答

要因の設問は、保護の現場にいる人が「何が主な要因だと感じるか」を尋ねたものです。個々の保護依頼を1件ずつ原因別に数えた統計ではありません。また、増加要因の各項目を合計すると100%を大きく超えるため、複数の要因を選べる形式だと読み取れます(この設問のグラフに複数回答の注記があるかは、PDFの文字抽出では確認できませんでした)。「87.9%の猫が高齢飼い主の事情で保護されている」という意味ではないので、引用するときは言い換えに注意が必要です。

メモ

公的な統計(自治体による引取り数や殺処分数)の推移は、この白書とは別の話題です。行政統計の読み方は

あわせて読みたい

数字で見る猫の引取り・殺処分といま飼い主にできること|動物愛護週間に向けて

で詳しく整理しています。白書の発表では、新規保護の流入経路について「主に一般市民や野良からの直接引き取り(行政機関からの引き出し0割〜3割以下)」と答えた団体が71.7%で、公的統計に表れない依頼が民間に集中していると指摘されています。

白書が示した主な数字

前提を踏まえたうえで、本記事のテーマに関わる数字を表にまとめます。

項目数値母数・補足
直近1年で新規の保護依頼が「増加」「大幅増加」48.4%全体。地方55.7%、都市38.9%
増加の要因「高齢飼い主の入院・死亡」87.9%(51団体)依頼が増加した団体(約58団体)が対象
増加の要因「多頭飼育崩壊」65.5%(38団体)同上
増加の要因「野良犬猫の繁殖」51.7%(30団体)同上
増加の要因「経済的理由や引越し等による飼育放棄」43.1%(25団体)同上
多頭飼育崩壊を直近1年で1回以上経験50.8%全体。大規模団体では65.7%
個人宅の崩壊現場の事情「経済的困窮による不妊去勢手術費用の不足」82.0%対応した個人宅の崩壊事案が母数、複数回答可
同「高齢化・認知症等による判断能力低下」63.9%同上
不足しているリソース「資金」「人手」88.3%、59.2%全体
必要な活動費用を寄付や事業収入で全額まかなえている団体19.2%約8割の団体で自費負担が発生

白書PDFでは、都市部を東京都・神奈川県・大阪府・愛知県・埼玉県・千葉県・兵庫県・福岡県の8都府県とし、それ以外を地方として集計しています。複数の地域で活動する団体は重複してカウントされています。団体の規模区分(小規模・中規模・大規模)は保護している頭数に基づくとされていますが、具体的な頭数の境目はPDFの文字抽出では読み取れず、この記事では未確認として扱います。

白書PDFでは、増加要因の設問が「増加している団体対象」であることと各選択肢の実数、個人宅での崩壊現場の事情の設問が「対応した個人宅における多頭飼育崩壊事案」を母数とする複数回答可であること、都市部の定義(8都府県)が示されています。白書は、上位2つの要因について「人」を起因とする問題が主役になってきているとまとめています。

保護の入口が「外の猫」から「家の中の猫」へ

これまで猫の保護というと、屋外で生まれる子猫をどう減らすかが中心的な課題でした。白書でも「野良犬猫の繁殖」は51.7%と依然として多く挙げられています。ただ、それを上回ったのが「高齢飼い主の入院・死亡」と「多頭飼育崩壊」でした。どちらも、外ではなく人の暮らしの内側で起きることです。

「高齢飼い主の入院・死亡」が意味するのは、猫そのものに問題があるわけではなく、世話をする人がいなくなることです。単身で暮らす高齢の飼い主が急に入院した場合、家に猫がいることを誰も知らない、知っていても鍵がなく入れない、世話を頼める家族がいない、という状況が重なると、猫は取り残されます。飼い主が亡くなった場合も、親族が遠方に住んでいたり、猫を引き取れる住環境になかったりすると、保護団体に相談が回ってきます。

もうひとつの多頭飼育崩壊では、個人宅の崩壊現場の事情として「経済的困窮による不妊去勢手術費用の不足」と「高齢化・認知症等による判断能力低下」が上位に並びました。白書は、経済・福祉面での困窮や困難が不妊去勢手術の未実施につながり、崩壊を引き起こす構造を指摘しています。また、多頭飼育崩壊の相談ルートとして「ケアマネジャーや民生委員」(7.5%)が挙がっていることも、福祉の現場と動物の問題が地続きになっていることを示しています。多頭飼育崩壊の仕組みと、動物愛護管理法にもとづく届出制度については

で詳しく解説しています。

そして、受け止める側の保護団体も余裕があるわけではありません。資金不足を挙げた団体が88.3%、費用を寄付や事業収入で全額まかなえているのは19.2%にとどまり、約8割で自費負担が生じています。「いざとなったら保護団体がなんとかしてくれる」という前提は置かないほうがよい、というのがこの数字から読み取れる現実です。

「ひとり暮らしの母が入院したと連絡を受けて実家に行ったら、猫が3日ほど水もごはんもないまま待っていた。母は猫のことを病院で誰にも言えていなかった」という話は、決して珍しくありません。本人が意識を失っていたり、動転していたりすれば、「家に猫がいる」とはなかなか伝えられないものです。

飼い主が今日からできる「もしも」の備え

ここからは、飼い主自身に万一のことがあったとき、猫が取り残されないための備えです。年齢に関係なく、ひとり暮らしの人、家族が遠くに住んでいる人ほど優先度が高くなります。

緊急連絡カードで「家に猫がいる」ことを外に知らせる

最初の関門は、飼い主が倒れたときに「家に猫がいる」ことを周囲が知ることです。東京都動物愛護相談センターは「ペットを守る緊急連絡カード」を作成し、PDFで配布しています。

東京都動物愛護相談センターは、急な入院や外出先での事故でしばらく家に帰れない、飼い主が亡くなってしまったといった場面で家に残されたペットの世話をしてくれる人がいるか、と問いかけたうえで、飼い主とペットの基本的な情報、かかりつけの動物病院、いざという時にペットを託せる方の連絡先を記入できる緊急連絡カードを公開しています。カードはA4で両面印刷し、発見されやすい場所に置いたり普段から身に付けたりするよう案内しています。また、一時的に世話をしてくれる人や、代わりに終生飼養してくれる人に事前に了承を得ておくよう呼びかけています。

財布や定期入れなど、救急搬送のときに確認されやすい場所に入れておくのが現実的です。港区も同じ東京都のカードを紹介し、身につけたり見つけやすい場所に貼ったりするよう案内しています。玄関の内側や冷蔵庫など、家に入った人が目にする場所にも1枚貼っておくと、訪問した親族や支援者が気づきやすくなります。

猫の情報を1枚にまとめておく

猫を預かる人が困るのは、「何を食べているのか」「薬はあるのか」「どんな性格なのか」がわからないことです。埼玉県は、フードの種類やワクチン接種などの記録を手帳などに残しておくよう呼びかけ、災害時にも役立つとしています。

猫の情報シートに書いておきたいこと

  • 名前・年齢・性別・毛色と模様(写真を添えると確実)
  • 不妊去勢手術の有無、マイクロチップの有無と番号
  • かかりつけの動物病院の名前と連絡先
  • 持病・服用中の薬・アレルギー・過去の大きな病気
  • ワクチン接種の時期
  • フードの商品名と量、1日の回数、苦手なもの
  • トイレの種類と砂の種類
  • 性格(人見知りか、抱っこが苦手か、隠れる場所)
  • ほかの猫や犬との相性
  • 預け先・引き取り先の候補の連絡先

紙に書いたものを猫用品の近くに置き、写真をスマートフォンにも保存しておくと、家族と共有しやすくなります。マイクロチップの登録情報が最新かどうかも、あわせて確認しておくと安心です。制度の現状は

にまとめています。

預け先と引き取り先を、口約束でなく事前に合意しておく

埼玉県は、突然の出来事に備えて親族やペットホテルなど一時的な預かり先を探しておくこと、さらに長期入院や施設入所を想定してペットの引取り先(新しい飼い主)をあらかじめ探しておくことを、ポイントとして挙げています。港区も、ペットを託せる人を見つけておくこと、家族や親族と話し合っておくことをすすめています。

  1. 1

    数日単位の「一時預かり」の候補を決める

    近くに住む家族や友人、利用できるペットホテルやペットシッターを調べておきます。鍵の受け渡し方法も決めておくと、急な入院でも家に入って世話ができます。
  2. 2

    長期・終生の「引き取り先」を話し合う

    飼い主が長く入院したり施設に入ったりした場合、あるいは亡くなった場合に、誰が猫を迎えるのかを家族や友人と具体的に話し合います。相手の住まいがペット可か、先住動物がいるかも確認します。
  3. 3

    相手の了承を得て、連絡先をカードとシートに書く

    東京都のカードの案内にもあるとおり、事前に了承を得たうえで連絡先を記入します。相手の事情は変わるので、年に一度は確認し合います。
  4. 4

    費用の渡し方も決めておく

    フード代や医療費を誰がどう負担するのかを決めておくと、預かる側の負担感が大きく変わります。

埼玉県は、しつけやケアを日ごろから欠かさず、常日頃から預けられる状態にしておくことも挙げています。キャリーに慣らしておく、爪切りやブラッシングに慣らしておくといった日常の積み重ねが、そのまま「もしも」の備えになります。ペットホテルやペットシッターの選び方は

、短時間の留守番の整え方は

あわせて読みたい

猫のお留守番の準備は何時間まで?水とフード・トイレ・室温の整え方

が参考になります。

ペット信託・負担付遺贈など、法的な仕組みも知っておく

港区は、ペットのための遺言や信託を準備しておくことも備えの一つとして挙げています。ここでは制度の概要だけを紹介します。実際に利用するかどうか、どの方法が合うかは個別の事情で大きく変わるため、必ず弁護士・司法書士・行政書士などの専門家に相談してください。

司法書士・行政書士の郡谷優子氏によるつぐなびの解説は、法律上ペットは「物」として扱われるため相続の対象にならないとしたうえで、信頼できる人にペットの世話と飼育費用を託す生前契約である「ペット信託」と、ペットの世話をすることを条件に遺言で財産を譲る「負担付き遺贈」の違いを説明しています。ペット信託は生前から利用でき急な入院や認知症にも対応できる一方で費用がかかり受託者探しに手間がかかること、負担付き遺贈は費用を抑えられる一方で受遺者が世話を拒否する可能性があり、生前の事態には対応できないことを挙げています。

方法どんな仕組みか知っておきたい点
ペット信託信頼できる人に、猫の世話と飼育費用を生前の契約で託す飼い主の入院や認知症の段階から対応できる。費用がかかり、託す相手を探す必要がある
負担付遺贈猫の世話をすることを条件に、遺言で財産を譲る費用を抑えやすいが、亡くなった後にしか働かない。受け取る側が断る可能性がある

どちらの方法を選ぶ場合でも、前提になるのは「猫を託せる相手がいること」と「その相手が引き受けることに同意していること」です。制度は、前の節の話し合いを確実にするための道具だと考えておくとよいでしょう。

老猫ホームという選択肢

港区は、老犬・老猫ホームを見つけておくことも備えとして挙げています。老猫ホームは、飼い主が飼えなくなった猫を預かり、終生世話をするサービスです。施設によって受け入れ条件、費用、面会の可否、医療体制は大きく異なります。具体的な料金相場や、施設の質を見分ける公的な基準については、今回の調査では確認できていません(未確認)。候補に入れる場合は、実際に見学し、契約内容を書面で確認することをおすすめします。

高齢の親が猫を飼っているとき、家族にできること

自分ではなく、離れて暮らす親が猫と暮らしているケースもあるでしょう。白書が示した「高齢飼い主の入院・死亡」の多さは、家族の関わり方で結果が変わる部分でもあります。

高齢の親と猫のために家族ができること

  • 親の財布に緊急連絡カードが入っているか一緒に確認する
  • 猫の情報シートを親と一緒に作り、家族でも写真を共有する
  • 実家の合鍵の保管場所と、入院時に誰が猫の世話に行くかを決める
  • かかりつけの動物病院を家族も把握しておく
  • 親が長期入院・施設入所になったとき、誰が猫を引き取るかを話し合う
  • 猫の数が増えていないか、不妊去勢手術が済んでいるかを確認する
  • 親の体調や判断力の変化に気づいたら、ケアマネジャーなど支援者とも猫の存在を共有する

白書では、多頭飼育崩壊の相談ルートとして「ケアマネジャーや民生委員」が一定の割合を占めていました。親が介護サービスを利用しているなら、担当者に「家に猫がいる」ことを伝えておくだけでも、いざというときの動きが早くなります。猫自身の高齢期のケアは

もあわせてご覧ください。

多頭化を防ぐ不妊去勢手術は、最も基本の備え

白書で個人宅の多頭飼育崩壊の事情として最も多かったのは、「経済的困窮による不妊去勢手術費用の不足」でした。埼玉県も、ペットが増えすぎて世話が行き届かなくなる前に不妊去勢手術で繁殖を制限するよう呼びかけ、港区も去勢不妊手術をして飼うことを備えの一つに挙げています。

猫の数が増えるほど、飼い主に万一のことがあったときに引き受け手を見つけるのは難しくなります。1匹なら親族が引き取れても、10匹となると現実的ではありません。手術の時期や費用、術後のケアについては

で解説しています。自治体によっては手術費用の助成制度がある場合もあるため、お住まいの自治体の窓口に確認してみてください。

注意

飼い主の入院や死去で猫が家に残された場合、猫は水もフードもないまま閉じ込められることになります。とくに次のような状況に心当たりがある場合は、早めに周囲へ相談してください。

  • ひとり暮らしで、家に猫がいることを知っている人がいない
  • 家族や友人に、猫を預かってもらう約束をしていない
  • 猫が持病の薬を毎日飲んでいる
  • 猫の数が増えて、自分だけでは世話が追いつかなくなってきた

自治体には動物に関する相談窓口があります。埼玉県は、飼い主の入院や死去でペットが取り残されるような問題について、県保健所(犬)や動物指導センター(猫)などに相談できるとしています。東京都の港区は、保健所と東京都動物愛護相談センターを相談先として案内しています。お住まいの地域の窓口を一度調べておくと安心です。

災害のときの備え(同行避難や備蓄)は、今回の「飼い主の万一」への備えと重なる部分が多くあります。避難の準備は

にまとめていますので、一緒に見直しておくと効率的です。

動物愛護週間に、わが家の「もしも」を見直す

環境省によると、動物の愛護及び管理に関する法律にもとづき、毎年9月20日〜26日は動物愛護週間とされています。2026年度の中央行事のテーマは「動物愛護週間100年〜人と動物との適正なかかわり方について〜」で、中央行事の「どうぶつ愛護フェスティバル」は9月19日と11月14日の2回開催とされています。白書も、この動物愛護週間を前に公開されました。

環境省は、動物の愛護及び管理に関する法律において動物愛護週間(9月20日〜26日)が設けられていること、令和8年度の中央行事のメインテーマが「動物愛護週間100年〜人と動物との適正なかかわり方について〜」であること、「どうぶつ愛護フェスティバル」を2026年9月19日と11月14日に開催することを発表しています。

保護猫を迎えることや、外で見つけた子猫を保護することも大切な行動ですが、この1週間はもうひとつ、「今うちにいる猫を、自分に何かあったときに誰が守るのか」を考える機会にしてみてはいかがでしょうか。外で子猫を見つけたときの対応は

で紹介しています。

よくある質問

白書の「87.9%」は、保護された猫の87.9%が高齢飼い主の事情ということですか
違います。87.9%は、直近1年で保護依頼が増えたと答えた団体(白書の実数から逆算すると約58団体)のうち、増加の主な要因として「高齢飼い主の入院・死亡」を挙げた団体(51団体)の割合です。団体の感じ方を尋ねた設問で、複数の要因を選べる形式と読み取れます。保護された猫の頭数を原因別に数えた統計ではありません。
まだ若いので、もしもの備えは必要ないですか
入院や事故は年齢に関係なく起こります。東京都の緊急連絡カードも、急な入院や外出先での事故でしばらく家に帰れない場面を想定しています。とくにひとり暮らしの人は、年齢にかかわらず、家に猫がいることを誰かに知らせる手段を用意しておくと安心です。
緊急連絡カードはどこで手に入りますか
東京都動物愛護相談センターのウェブサイトからPDFをダウンロードできます。A4で両面印刷するよう案内されています。都外にお住まいの人も内容を参考に作れますし、お住まいの自治体が独自の様式を用意している場合もあるので、確認してみてください。
ペット信託と負担付遺贈は、どちらを選べばよいですか
個別の事情によって異なるため、この記事では判断できません。概要としては、ペット信託は生前から利用でき入院や認知症の段階にも対応できる一方で費用がかかり、負担付遺贈は費用を抑えやすい一方で亡くなった後にしか働かず、受け取る側が断る可能性があるとされています。利用を考える場合は、弁護士・司法書士・行政書士などの専門家に相談してください。
いざとなったら保護団体に頼めばよいのでは
白書では、資金不足を挙げた団体が88.3%、活動費用を寄付や事業収入で全額まかなえている団体は19.2%にとどまりました。保護団体は限られた資金と人手で活動しており、必ず引き受けてもらえるとは限りません。まずは家族や友人との事前の取り決めを中心に備えることをおすすめします。

まとめ

「全国 犬猫保護活動 実態白書2026」は、回答した120団体という限られた範囲の調査であり、要因の設問は現場の感じ方を尋ねたものです。それでも、保護依頼が増えた団体の多くが「高齢飼い主の入院・死亡」を挙げ、多頭飼育崩壊の背景に経済的困窮や判断能力の低下があると感じている、という結果は、猫の保護の入口が家の外から家の中へ広がっていることを示唆しています。

飼い主にできることは、決して大がかりなものばかりではありません。財布に緊急連絡カードを入れる。猫の情報を1枚にまとめる。預け先と引き取り先を家族や友人と話し合い、了承を得ておく。不妊去勢手術を済ませ、世話できる数を守る。必要に応じて、遺言や信託について専門家に相談する。動物愛護週間のこの時期に、ひとつでも手をつけておくことが、自分の猫を「保護依頼の1件」にしないための確かな一歩になります。

出典・参考

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