猫のマイクロチップはどこまで義務?2026年の現状と飼い主がやる登録・変更手続き
対象の目安: 全ライフステージ

「猫のマイクロチップって、もう義務になったの?」「うちの子は前から飼っているけど、今から装着しないといけないの?」と、制度の線引きに戸惑っている方は多いのではないでしょうか。マイクロチップは2022年6月にルールが変わり、ニュースでもよく取り上げられましたが、「誰に、どこまで義務があるのか」は意外と正確に知られていません。この記事では、脱走や迷子の予防そのものではなく、あくまで「制度と手続き」に軸足を置いて、2026年時点の現状と、飼い主が実際にやる登録・変更の実務を、環境省の情報をもとに整理します。
2026年時点の現状:義務なのは「販売業者」
まず押さえておきたいのが、「義務」と「努力義務」の線引きです。ここを混同すると、必要のない不安を抱えたり、逆にやるべき手続きを見落としたりします。
2022年(令和4年)6月1日から、ブリーダーやペットショップなどの販売業者が犬や猫を取得した場合には、その犬猫を販売・譲り渡す前にマイクロチップを装着し、環境大臣の登録を受けることが義務づけられています。つまり、ペットショップなどで新しく迎える猫は、すでにマイクロチップが入った状態で手元にやってくるのが基本です。
環境省は、令和4年6月1日から、ブリーダーやペットショップ等で販売される犬や猫についてマイクロチップの装着が義務化されたと説明しています。環境省 犬と猫のマイクロチップ情報登録についてより。
一方で、それ以前から猫を飼っている一般の飼い主や、知人・保護団体などから譲り受けて飼っている場合は、事情が異なります。すでに飼っている犬猫について、一般の所有者にはマイクロチップの装着義務はなく、「装着するよう努める」努力義務にとどまります。
大阪市は、一般の所有者についてはマイクロチップの装着は義務ではなく、装着するよう努める(努力義務)とされていると説明しています。大阪市 犬・猫のマイクロチップの装着等の義務化についてより。
つまり2026年時点でも、「昔から飼っている愛猫に、今すぐマイクロチップを入れなければ違法」ということはありません。装着するかどうかは飼い主が判断できますが、後述する迷子や災害時の意義を考えると、努力義務として前向きに検討する価値はあります。
メモ
猫を迎えたら30日以内の「変更登録」が義務
ここが、飼い主にとって一番のポイントです。マイクロチップが装着された猫をペットショップやブリーダーから購入したり、前の飼い主から譲り受けたりして迎えた場合、その猫の登録情報を自分の情報に更新する「変更登録」が必要になります。
販売時点で登録されているのは、あくまで販売業者や前の所有者の情報です。そのままでは、迷子や災害で保護されても連絡が今の飼い主に届きません。そこで、新しい所有者になったら、期限内に自分の名前・住所・連絡先へ変更登録することが求められます。
大阪市は、マイクロチップが装着された犬猫を購入・譲り受けた新たな所有者は、30日以内に所有者情報等を変更登録する必要があると説明しています。大阪市 犬・猫のマイクロチップの装着等の義務化についてより。
手続きの大まかな流れは次のとおりです。迎えたときに販売業者や譲り主から渡される「登録証明書」が必要になるので、なくさないよう保管しておきましょう。
- 1
登録証明書を受け取る・確認する
マイクロチップ装着済みの猫を迎えるときは、販売業者や前の飼い主から「登録証明書」を受け取ります。ここに記載された暗証記号やマイクロチップの識別番号(15桁)が、変更登録の手続きに必要です。 - 2
登録サイトまたは郵送で変更登録する
環境省の指定登録機関(公益社団法人日本獣医師会)が運営する「犬と猫のマイクロチップ情報登録」サイトから、オンラインで変更登録できます。パソコンやスマートフォンが苦手な場合は、紙の申請書による郵送も選べます。 - 3
30日以内に済ませる
変更登録は、猫を取得した日から30日以内に行います。迎えたばかりでバタバタしがちな時期ですが、忘れないうちに早めに手続きするのがおすすめです。
注意
引っ越し・連絡先が変わったときも30日以内
変更登録は、飼い主が変わったときだけの手続きではありません。いったん自分の情報で登録したあとも、登録した内容に変更があれば届出が必要です。
具体的には、引っ越しで住所が変わったとき、電話番号を変えたとき、飼い主の氏名が変わったときなどが該当します。これらは変更が生じた日から30日以内に、指定登録機関へ届け出ます。
大阪市は、登録事項に変更が生じた場合は、変更日から30日以内に指定登録機関への届出が必要と説明しています。大阪市 犬・猫のマイクロチップの装着等の義務化についてより。
見落としやすいのが引っ越しです。せっかくマイクロチップを入れて登録しても、住所や電話番号が古いままでは、いざというときに連絡がつながりません。転居のたびにチェックしたい項目を、チェックリストにまとめておきます。
登録内容に変更があったら確認したいこと
- 引っ越しで住所が変わった
- 携帯・固定電話などの電話番号が変わった
- 飼い主の氏名が変わった
- メールアドレスなど連絡手段が変わった
- 上記があれば、変更日から30日以内に変更(変更届)の手続きをする
ヒント
手数料と申請方法(オンライン400円/郵送1400円)
手続きにかかる費用も、あらかじめ知っておくと安心です。マイクロチップ情報の登録・変更登録には、1回につき手数料がかかります。
環境省のQ&Aによると、登録・変更登録の手数料は、オンライン申請が1回につき400円、紙(郵送)申請が1回につき1400円です。オンラインのほうが安く、手続きも早く反映されるため、可能ならオンライン申請が便利です。
環境省のQ&Aは、登録・変更登録の手数料について、オンライン申請は1回につき400円、紙申請は1回につき1400円と案内しています。環境省 犬と猫のマイクロチップ情報登録に関するQ&Aより。
手数料は過去に改定されており、古い解説記事では異なる金額が書かれていることがあります。金額は変わることもあるため、実際に手続きをする前に、環境省や登録サイトの最新の案内で確認すると安心です。
手続きの窓口となる指定登録機関は、公益社団法人日本獣医師会です。登録・変更登録・各種届出は、この団体が運営する登録サイトから行います。
指定登録機関である公益社団法人日本獣医師会が運営する登録サイトから、マイクロチップ情報の登録・所有者の変更登録などの手続きができます。犬と猫のマイクロチップ情報登録より。
装着そのものは動物病院で
これから新たにマイクロチップを装着したい場合(努力義務での装着を検討する場合)、装着は動物病院で行います。マイクロチップの植え込みは獣医療行為にあたるため、獣医師が専用の注入器で首の後ろあたりの皮下に挿入します。
装着費用は保険適用外の自由診療で、病院によって幅がありますが、数千円程度が一つの目安です。金額や当日の流れ、猫の負担については、かかりつけの動物病院に事前に相談しておくと安心です。装着後は、獣医師が発行する証明書類をもとに、飼い主自身が前述の登録手続きを行う必要があります(装着=登録ではない点に注意)。
メモ
迷子・災害・脱走のときに役立つ意味
制度としての義務の話が続きましたが、そもそもマイクロチップにどんな意義があるのかも押さえておきましょう。最大の価値は、「この子の飼い主は誰か」を確実に示せる、消えない身分証になることです。
猫が脱走したり、災害ではぐれたりして保護された場合、動物病院や自治体、動物愛護センターなどで専用のリーダーを使ってマイクロチップを読み取れば、登録された飼い主情報にたどり着けます。首輪のように外れて落ちる心配がなく、体内に留まり続けるため、身元確認の確実性が高いのが強みです。特に地震や水害などの災害時は、多くの動物が保護される中で飼い主のもとへ戻すための有力な手がかりになります。防災の視点での備えは あわせて読みたい 猫の防災・同行避難の備え|地震・台風に慌てないための平時の準備
一方で、誤解されやすい点もあります。マイクロチップはGPSではなく、リアルタイムで居場所を追跡する機能はありません。あくまで保護された後に読み取って身元を確認するためのものです。日常の脱走対策そのものは別に必要で、その具体策は あわせて読みたい 猫の脱走防止対策|玄関・窓・ベランダの危険と迷子札・マイクロチップ
注意
首輪・迷子札との併用が現実的
マイクロチップがあれば首輪や迷子札はいらない、というわけではありません。それぞれ役割が違うため、併用するのが現実的です。
マイクロチップは読み取り機がないと情報を確認できないのに対し、迷子札は見つけた人がその場で連絡先を読めます。近所の人が保護してくれたようなときは、首輪の迷子札のほうがすぐに連絡がつくこともあります。逆に、首輪は外れたり自分で外してしまったりすることがあり、そのときの最後の砦がマイクロチップです。両方を備えておくことで、身元確認の手段を二重にできます。
完全室内飼いの猫でも、来客時や災害時など、思わぬタイミングで外に出てしまうことはあります。マイクロチップの登録を最新に保ちつつ、負担の少ない安全な首輪(引っかかると外れるセーフティタイプなど)と迷子札を組み合わせておくと、いざというときの再会の可能性を高められます。
前から飼っている猫にも、マイクロチップの装着は義務ですか?
マイクロチップ装着済みの猫を迎えました。何をすればいいですか?
引っ越したら手続きは必要ですか?
マイクロチップがあれば、逃げても居場所がわかりますか?
まとめ
猫のマイクロチップは、2026年時点で「販売業者は装着・登録が義務、すでに飼っている一般の飼い主は努力義務」という線引きが現状です。昔から飼っている愛猫に今すぐ装着する法的義務はありませんが、装着済みの猫を購入・譲り受けて迎えたら、取得から30日以内の変更登録が飼い主の義務になります。引っ越しや連絡先の変更があったときも、変更日から30日以内の届出が必要です。手続きは指定登録機関である公益社団法人日本獣医師会の登録サイトから、オンライン400円・郵送1400円の手数料で行えます。装着そのものは動物病院で相談を。マイクロチップはGPSではなく、あくまで保護された後の身元確認の備えなので、脱走防止や首輪・迷子札との併用と組み合わせて、いざというときに愛猫と再会できる体制を整えておきましょう。手続きの詳細や最新の金額は、環境省および指定登録機関の公式サイトで確認することをおすすめします。
出典・参考
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