数字で見る猫の引取り・殺処分といま飼い主にできること|動物愛護週間に向けて
対象の目安: 全ライフステージ

毎年9月になると、猫の引取りや殺処分の数字がニュースで流れます。「去年より減った」「殺処分ゼロを達成した」といった見出しを見かける一方で、その数字が何を数えたものなのかまで説明されることは多くありません。数字の意味がわからないまま「減っているならもう大丈夫」と受け取ってしまうと、いま何が課題として残っているのかが見えなくなります。この記事では、環境省が公表している最新の統計を実際に開いて数字を分解し、そのうえで動物愛護週間に飼い主と地域住民ができることを整理しました。
2026年は「動物愛護週間100年」の節目
まず、この時期の話題の土台になっている制度から確認します。動物愛護週間は運動やキャンペーンの通称ではなく、法律に根拠のある期間です。
動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護管理法)第4条は、「ひろく国民の間に命あるものである動物の愛護と適正な飼養についての関心と理解を深めるようにするため、動物愛護週間を設ける」と定め、第2項で「動物愛護週間は、九月二十日から同月二十六日までとする」としています。さらに第3項では、国および地方公共団体は動物愛護週間にその趣旨にふさわしい行事が実施されるよう努めなければならない、と定められています。自治体が9月に譲渡会やパネル展を集中して開くのは、この条文が背景にあります。
そして2026年は、この動物愛護週間にとって節目の年にあたります。環境省は2026年4月24日付の報道発表で、令和8年度動物愛護週間ポスターのデザイン絵画コンクールのテーマを「動物愛護週間100年~人と動物との適正なかかわり方について~」と発表し、「1927年に、日本で初めての動物愛護週間の催しが行われてから今年で100年を迎えます」と述べています。作品募集は2026年4月24日から6月30日までとされていました。
メモ
最新の数字は「令和6年度」
猫の引取りや殺処分の数字は、環境省が「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」として毎年公表しています。動物愛護管理行政事務提要から作成されたもので、都道府県・指定都市・中核市が集計した実数です。
2026年8月時点でこのページに掲載されている最新の対象期間は、令和6年4月1日から令和7年3月31日まで(2024年4月1日から2025年3月31日まで)、つまり令和6年度分です。ネット上には令和5年度や令和4年度の数字を「最新」として紹介している記事も残っているため、数字を引用するときは年度の確認が欠かせません。
令和6年度の猫の数字を分解する
では、令和6年度の猫の数字を実際に見ていきます。環境省の表では、引取り数が「飼い主から」と「所有者不明」に分かれ、それぞれ成熟個体と幼齢個体に分かれています。
| 引取りの区分 | 令和6年度の猫(頭) |
|---|---|
| 飼い主から・成熟個体 | 6,612 |
| 飼い主から・幼齢個体 | 1,710 |
| 所有者不明・成熟個体 | 2,626 |
| 所有者不明・幼齢個体 | 11,062 |
| 引取り数の合計 | 22,010 |
処分の内訳は次のとおりです。
| 処分の区分 | 令和6年度の猫(頭) | うち幼齢個体(頭) |
|---|---|---|
| 返還数 | 225 | 36 |
| 譲渡数 | 16,854 | 9,388 |
| 殺処分数 | 4,866 | 2,579 |
同じ年度の犬は、引取り数17,399頭に対して殺処分数1,964頭です。頭数でも比率でも、猫のほうが課題が大きいことがわかります。
ここで一つ、見落とされやすい点があります。上の表は「引取り」の統計であって、道路などで負傷して収容された動物は別の表で集計されています。令和6年度の負傷猫の収容数は7,394頭で、そのうち殺処分数は4,060頭です。「猫の殺処分数は4,866頭」という数字は、この負傷猫の分を含んでいません。
注意
「殺処分数」は3つの内訳でできている
数字を読むうえで最も重要なのがここです。環境省の統計に出てくる「殺処分数」は、単一の意味を持つ数ではなく、3つの分類の合計として集計されています。令和元年度の事務提要から、この3分類での集計が行われるようになりました。
環境省が公開している「動物愛護管理行政事務提要の『殺処分数』の分類」は、それぞれを次のように定義しています。
- 分類1「譲渡することが適切ではない(治癒の見込みがない病気や攻撃性がある等)」: 希望者または愛護団体等に譲渡することが、動物愛護管理法第1条および第2条の趣旨に照らして適切ではない、または譲り受けた者が同法第7条第1項の責務を果たすことが極めて困難と自治体の獣医師が判断したため、殺処分を行った動物。例示として、負傷や病気等による苦痛が著しく治療の継続または保管が法の趣旨に反すると判断される動物、パルボウイルス感染症・猫白血病・猫後天性免疫不全症候群等の感染症に罹患している動物、収容中および譲渡後に人や他の動物に危害を及ぼす恐れが高い動物などが挙げられています。
- 分類2「分類1以外の処分(譲渡先の確保や適切な飼養管理が困難)」: 分類1以外の理由により譲渡または保管が困難であると判断したため、殺処分を行った動物。例示として、軽度の疾病・怪我・先天性疾患や高齢などのため希望者が現れない動物、施設の収容可能頭数等の物理的制限により飼養が困難な動物、哺乳等の適切な飼養管理を行うことができない幼齢の動物などが挙げられています。
- 分類3「引取り後の死亡」: 引取り、狂犬病予防法に基づく抑留または条例に基づく収容を行った後、その運搬、飼養管理中に殺処分以外の原因で死亡した動物。病気または老衰による死亡、事故による死亡、幼齢のための死亡、死因不明の動物が例示されています。
つまり分類3は、行政が意図的に処分した数ではなく、収容中に亡くなってしまった数です。この点は環境省が同じページから公開している都道府県別のPDFの注記でも、「殺処分数には、保管中の病気等による自然死も含まれる」と明記されています。
| 殺処分数の分類 | 引取りの猫(頭) | 負傷猫(頭) |
|---|---|---|
| 1. 譲渡することが適切ではない | 2,387 | 1,236 |
| 2. 1以外の処分(譲渡先の確保や適切な飼養管理が困難) | 780 | 92 |
| 3. 引取り後の死亡 | 1,699 | 2,732 |
| 合計 | 4,866 | 4,060 |
引取りの猫では、3分類のうち「引取り後の死亡」が1,699頭で全体の34.9%を占めます。負傷猫にいたっては2,732頭で67.3%です。事故や衰弱で収容された時点で状態が厳しく、手当ての甲斐なく亡くなったケースが多く含まれていると読めます。
なお、この3分類は全国の合計だけでなく、自治体ごとにも公表されています。環境省の統計資料ページからは「犬・猫の引取り及び処分の状況(都道府県・指定都市・中核市別)」のPDFが開けるので、お住まいの地域の数字を確かめたいときはそちらを見るのが確実です。
猫の引取りの半分以上は「幼齢個体」
もう一つ、猫の統計を特徴づけているのが幼齢個体の多さです。環境省の注記によれば、「幼齢の個体」とは主に離乳していない個体を指します。成熟個体と幼齢個体を区別していない自治体では、すべて成熟個体として計上されているため、実際の幼齢個体はこれ以上とも考えられます。
令和6年度の猫の引取り22,010頭のうち、幼齢個体は飼い主からの1,710頭と所有者不明の11,062頭を合わせて12,772頭。単純計算で58.0%です。とくに所有者不明の幼齢個体だけで11,062頭あり、これは引取り全体の50.3%にあたります。殺処分4,866頭のうち幼齢個体は2,579頭で53.0%、譲渡16,854頭のうち幼齢個体は9,388頭で55.7%です。
言い換えると、猫の統計は「外で生まれた、まだ離乳もしていない子猫」を中心に回っています。犬の引取り17,399頭のうち幼齢個体が3,027頭(飼い主から143頭、所有者不明2,884頭)であることと比べると、構造の違いは明らかです。
背景には猫の繁殖力があります。公益財団法人どうぶつ基金は、猫は1年に3回出産することができ、一度に5〜7頭の子猫を産むことができること、生まれた子猫は6か月すると妊娠が可能な年齢になり孫猫を産むことを説明し、「TNRをゆっくり行っていては、猫の繁殖スピードに追いつけません」としています。
環境省が平成22年2月に公表した「住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン」も、飼い主のいない猫の現状として「殺処分される猫のほとんどは、不妊去勢手術をされていないために生まれた、生まれて間もない子猫です」と記しています。この記述は2010年時点のものですが、離乳前の子猫が統計の中心を占めるという構造は、令和6年度の数字を見るかぎり変わっていません。
春から夏にかけて外で子猫が見つかりやすいのはこのためです。実際に子猫を保護したときの手順は あわせて読みたい 夏に子猫を保護したら|拾ったときの最初の対応と迎える準備
20年でどう変わったか
環境省の統計ページには、平成16年度から令和6年度までの推移表が載っています。猫の数字を抜き出すと次のようになります。
| 年度 | 引取り数(頭) | 返還・譲渡数(頭) | 殺処分数(頭) |
|---|---|---|---|
| 平成16年度(2004年度) | 237,246 | 4,026 | 238,929 |
| 平成21年度(2009年度) | 177,785 | 10,621 | 165,771 |
| 平成26年度(2014年度) | 97,922 | 18,592 | 79,745 |
| 令和2年度(2020年度) | 44,798 | 25,385 | 19,705 |
| 令和3年度(2021年度) | 34,805 | 23,112 | 11,718 |
| 令和4年度(2022年度) | 30,401 | 20,471 | 9,472 |
| 令和5年度(2023年度) | 25,224 | 18,426 | 6,899 |
| 令和6年度(2024年度) | 22,010 | 17,079 | 4,866 |
この推移表は平成16年度が起点で、猫の引取り数と殺処分数はいずれもその平成16年度が表中で最も多い年度です。平成16年度と令和6年度を比べると、引取り数は237,246頭から22,010頭へと約90.7%減、殺処分数は238,929頭から4,866頭へと約98.0%減です。引取りに対する返還・譲渡の割合も、平成16年度の1.7%から令和6年度の77.6%へと大きく変わりました。20年で起きた変化としては非常に大きいものです。
一方で、直近の動きも見ておく必要があります。令和5年度から令和6年度にかけて、引取り数は25,224頭から22,010頭へ12.7%減、殺処分数は6,899頭から4,866頭へ29.5%減。減少は続いていますが、引取り数そのものの減り方は殺処分数ほど急ではありません。
なお、「減少幅が年々ゆるやかになっている」と単純にまとめることもできません。実数で見れば減り幅は小さくなっていますが、前年度比の減少率は年度ごとに上下しています。猫の引取り数は令和2年度から3年度が約22.3%減、3年度から4年度が約12.7%減、4年度から5年度が約17.0%減、5年度から6年度が約12.7%減。殺処分数は令和3年度から4年度が約19.2%減、4年度から5年度が約27.2%減、5年度から6年度が約29.5%減と、直近ではむしろ減少率が大きくなっています(いずれも推移表の実数から筆者が計算)。
返還・譲渡数の動きも見ておきます。推移表のなかで猫の返還・譲渡数が最も多いのは平成29年度の26,967頭で、そこから令和6年度は17,079頭まで減っています。引取り数が減ったぶん、返還・譲渡の母数も減ったと読むこともできますが、この点について環境省の資料に説明は確認できていません。なお、この列は返還と譲渡を合わせた数であり、譲渡だけの数(令和6年度は16,854頭)とは一致しない点に注意が必要です。
ヒント
「殺処分ゼロ」という言葉の読み方
ニュースでよく見る「殺処分ゼロ」という表現は、実は全国共通の定義がある言葉ではありません。何を「殺処分」として数えるかは、自治体の説明によって異なります。
わかりやすい例が東京都です。東京都保健医療局は、致死処分数を「動物福祉等の観点から行ったもの」「引取り・収容後死亡したもの」、そしてそれら以外の致死処分(原資料の行名は丸囲み数字を使って「1・2以外の致死処分」と書かれています)の3つに区分して公表しています。これは環境省の3分類とは名称も定義も別の、東京都独自の区分です。「動物福祉等」は、苦痛からの解放、著しい攻撃性、衰弱や感染症によって成育が極めて困難、という場合を指すと注記されています。
同じ資料には「東京都では、犬においては平成28年度に、猫については平成30年度に殺処分ゼロを達成しており、その後令和6年度まで継続しています」という注記があります。この資料が区分ごとの実数を掲載しているのは令和2年度から令和6年度までの5年度分で、その範囲では犬・猫とも3番目の区分が0のまま推移しています。注記が言う「殺処分ゼロの継続」と、掲載範囲で0が続いているのが3番目の区分だけであることを合わせて読むと、東京都は3番目の区分を「殺処分」として数えていると理解できます。ただし「3番目の区分を殺処分と定義する」と明記した一文が資料上にあるわけではなく、猫が達成したとされる平成30年度や令和元年度の区分別の実数もこの資料には載っていません。ここは注記と掲載範囲からの読み取りです。
| 東京都の致死処分の分類(猫) | 令和5年度(頭) | 令和6年度(頭) |
|---|---|---|
| 1. 動物福祉等の観点から行ったもの | 94 | 53 |
| 2. 引取り・収容後死亡したもの | 105 | 88 |
| 3. 1・2以外の致死処分 | 0 | 0 |
つまり東京都の猫は、令和6年度に動物福祉等の観点による致死処分が53頭、引取り・収容後の死亡が88頭あり、それ以外の致死処分が0頭という内訳です。「殺処分ゼロ」という言葉が指しているのは、この3番目の0頭のことです。
ここで大事なのは、これが「数字のごまかし」だという話ではない、ということです。治る見込みがなく苦痛が著しい動物への対応をゼロにすることは現実的ではありませんし、収容後に亡くなった個体を「殺処分」と呼ぶのも実態に合いません。分類して公表しているからこそ、外部から中身を検証できるようになっています。
ただし読み手の側では、次の点を意識しておく必要があります。
「殺処分ゼロ」という言葉を見たときの確認ポイント
- どの自治体・どの団体が、どの年度について言っているのか
- 「殺処分」に何を含め、何を除いた定義なのか(動物福祉の観点による処分、収容後の死亡を含むか)
- 犬と猫を合わせた数字か、猫だけの数字か
- 引取りだけの数字か、負傷動物の収容分を含むか
- そもそも引取り自体を抑えた結果なのか、譲渡を伸ばした結果なのか
- 譲渡先での飼養状況まで追えているのか(引き渡した後の情報は統計に表れない)
環境省の全国統計は3分類の合計をそのまま「殺処分数」として示す一方、東京都のように独自の区分で「殺処分」を定義する自治体もあります。全国の数字と個別自治体の数字を単純に足したり比べたりできない理由がここにあります。
制度の柱を押さえる
数字の背景には制度があります。飼い主に直接関わる部分を、条文で確認しておきます。
終生飼養は努力義務
動物愛護管理法第7条第4項は、動物の所有者は、飼養または保管の目的等を達する上で支障を及ぼさない範囲で、できる限り、当該動物がその命を終えるまで適切に飼養すること(終生飼養)に努めなければならない、と定めています。同じ第7条では、第3項で逸走を防止するために必要な措置を講ずる努力義務、第5項でみだりに繁殖して適正に飼養することが困難とならないよう繁殖に関する適切な措置を講ずる努力義務、第6項で自己の所有に係るものであることを明らかにするための措置を講ずる努力義務も定められています。
さらに第37条第1項は、犬または猫の所有者は、これらの動物がみだりに繁殖してこれに適正な飼養を受ける機会を与えることが困難となるようなおそれがあると認める場合には、その繁殖を防止するため、生殖を不能にする手術その他の措置を講じなければならない、としています。条件付きではありますが、こちらは「努めなければならない」ではなく「講じなければならない」という書きぶりです。
行政は引取りを拒否できる
「飼えなくなったら行政が引き取ってくれる」と考えている方がいますが、それは正確ではありません。第35条第1項は、都道府県等は犬または猫の引取りを所有者から求められたときはこれを引き取らなければならないとしつつ、ただし書で、犬猫等販売業者から求められた場合その他の第7条第4項の趣旨に照らして引取りを求める相当の事由がないと認められる場合として環境省令で定める場合には、引取りを拒否することができるとしています。
その環境省令が動物の愛護及び管理に関する法律施行規則第21条の2で、次の場合が挙げられています。ただし、これらに該当する場合であっても、生活環境の保全上の支障を防止するために必要と認められる場合は拒否できないとされています。
- 犬猫等販売業者から引取りを求められた場合
- 引取りを繰り返し求められた場合
- 子犬または子猫の引取りを求められた場合であって、引取りを求める者が都道府県等からの繁殖を制限するための措置に関する指示に従っていない場合
- 犬または猫の老齢または疾病を理由として引取りを求められた場合
- 引取りを求める犬または猫の飼養が困難であるとは認められない理由により引取りを求められた場合
- あらかじめ引取りを求める犬または猫の譲渡先を見つけるための取組を行っていない場合
- 上記のほか、都道府県等の条例、規則等に定める場合
一方で第35条第4項は、都道府県知事等は引取りを行った犬または猫について、殺処分がなくなることを目指して、所有者がいると推測されるものは所有者を発見して返還するよう努め、そうでないものは飼養を希望する者を募集して譲り渡すよう努めるものとする、と定めています。返還・譲渡が伸びてきた背景には、この規定があります。
マイクロチップと罰則
2019年(令和元年)の法改正で導入されたマイクロチップの制度は、2022年(令和4年)6月1日から施行されています。環境省は、この日からブリーダーやペットショップ等で販売される犬や猫についてマイクロチップの装着が義務化されたと説明しています。すでに飼っている一般の飼い主については装着は努力義務ですが、装着済みの猫を迎えた場合の変更登録は義務です。手続きの詳細は あわせて読みたい 猫のマイクロチップはどこまで義務?2026年の現状と飼い主がやる登録・変更手続き
罰則も押さえておきましょう。動物愛護管理法第44条は、愛護動物をみだりに殺し、または傷つけた者は5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金、虐待を行った者は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金、愛護動物を遺棄した者は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金に処すると定めています。ここでいう「愛護動物」には猫が明記されています。
注意
飼い主・地域住民ができること
統計の構造を踏まえると、効くところははっきりしています。「外で生まれる子猫を減らすこと」と「家の猫が外に出て所有者不明にならないこと」の2つです。
- 1
完全室内飼いにする
環境省の「住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン」は「猫は室内で飼うのが基本です。屋外には危険がいっぱいです」と明記し、上下運動のできる場所やリラックスできる場所を用意するなど心理的・肉体的なストレスに配慮すれば室内で飼うことは可能だとしています。令和6年度に負傷猫として7,394頭が収容されている現実を考えても、外に出さないことは猫自身を守る選択です。 - 2
不妊去勢手術を受ける
法第7条第5項の繁殖に関する適切な措置、第37条第1項の繁殖制限は、いずれも飼い主に向けられた規定です。手術の時期や費用、術後の変化については動物病院に相談してください。 - 3
マイクロチップを入れ、登録情報を最新にする
マイクロチップは迷子になったときに身元を証明する手段です。すでに入っている場合でも、引っ越しや電話番号の変更があったら、変更を生じた日から30日を経過する日までに届け出る必要があります(法第39条の5第8項)。装着しただけで登録や変更をしていないと、いざというときに連絡がつきません。 - 4
迷子札と脱走防止を併用する
マイクロチップは読み取り機がないと確認できません。外から見てすぐわかる迷子札つきの首輪と、玄関や窓の脱走防止対策を組み合わせます。法第7条第3項の逸走防止措置は、こうした日常の工夫のことです。 - 5
外の猫には、まず不妊去勢とルールづくり
餌だけを与えて繁殖が続くと、頭数も苦情も増えます。環境省のガイドラインは地域猫を「地域の理解と協力を得て、地域住民の認知と合意が得られている、特定の飼い主のいない猫」と定義し、飼育管理者を明確にし、フードやふん尿の管理、不妊去勢手術の徹底、周辺美化などのルールに基づいて管理し、一代限りの生を全うさせる猫だとしています。まず自治体の担当窓口に相談するのが確実です。 - 6
譲渡でつなぐ・支える
猫を迎えるときの選択肢に、自治体の譲渡事業や保護団体の譲渡会を加えてみてください。迎えられない場合でも、預かりボランティア、譲渡会の運営手伝い、寄付や物資の提供など、関わり方はいくつもあります。
TNR(捕獲・不妊去勢手術・元の場所に戻す)については、公益財団法人どうぶつ基金が「さくらねこ無料不妊手術事業」を実施しています。同基金は、不妊手術済みの目印として麻酔中に耳先をV字にカットすること、そのV字が桜の花びらのように見えることから「さくらねこ」と呼ばれるようになったこと、目印がないと手術済みの猫が再び捕獲され麻酔や開腹手術のリスクを二重に負うことを説明しています。2021年度の同事業では、目印がなかったために1,266頭の猫が2度捕獲されたとしています。
メモ
多頭飼育が手に負えなくなる問題については あわせて読みたい 猫の多頭飼育崩壊はなぜ起きる?動物愛護管理法の届出制度といまできること あわせて読みたい 猫の去勢・避妊手術の基礎ガイド、時期・メリット・費用と術後ケア
動物愛護週間に、できることを一つ
9月20日から26日は、こうしたことを見直すのにちょうどいいタイミングです。大きなことをしなくても構いません。
動物愛護週間にやってみたいこと
- マイクロチップの登録情報(住所・電話番号)が最新かを確認する
- 迷子札の文字がかすれていないか、首輪のサイズが合っているかを見直す
- 玄関・窓・ベランダの脱走ルートをもう一度点検する
- 不妊去勢手術がまだなら、動物病院に相談の予約を入れる
- 住んでいる自治体の動物愛護センターのサイトで、譲渡事業や行事の情報を見てみる
- 家族と「もし自分が飼えなくなったら誰に託すか」を一度話しておく
- 地域の譲渡会に足を運んでみる(迎えなくても、活動を知るだけで十分意味があります)
- 災害時にすぐ持ち出せるよう、猫の避難用品を確認する
「もし自分が飼えなくなったら」の備えは、実は終生飼養と直結しています。統計上、飼い主から自治体に持ち込まれた成熟猫は令和6年度に6,612頭。持ち込みの理由までは公表されていませんが、飼い主側の事情の変化が背景にあるケースは少なくないと考えられます。元気なうちに預け先や相談先を決めておくことは、猫のための現実的な準備です。
2026年8月時点で、猫の殺処分数の最新値はいくつですか。
殺処分数に「引取り後の死亡」が含まれるのはなぜですか。
猫の引取りで、離乳前の子猫が多いのはなぜですか。
「殺処分ゼロを達成」と報じられた自治体では、猫は1頭も亡くなっていないのですか。
飼えなくなった猫は、行政が必ず引き取ってくれますか。
外で子猫を見つけたら、すぐに保健所へ連れて行くべきですか。
統計は毎年いつごろ更新されますか。
まとめ
猫の引取りと殺処分の数字は、この20年で大きく変わりました。令和6年度の引取り数22,010頭は平成16年度の約9%、殺処分数4,866頭は約2%です。譲渡は16,854頭にのぼり、引取り数に対する返還・譲渡の割合は77.6%になりました。行政と保護団体、そして無数のボランティアが積み上げてきた結果です。
同時に、数字の中身を見れば残っている課題もはっきりします。引取りの58.0%は離乳前の子猫で、その多くは所有者不明。殺処分4,866頭のうち1,699頭は収容後に亡くなった個体で、幼齢個体が2,579頭を占めます。負傷猫の収容は7,394頭あり、その半数以上が亡くなっています。外で生まれる子猫を減らすこと、家の猫を外に出さないこと。効くところは変わっていません。
「殺処分ゼロ」という言葉は力がありますが、何を数えたゼロなのかを確認して読む習慣を持ちたいところです。定義を知って読むことは、現場を否定することではなく、次に必要なことを見つけるための作業です。
2026年は、日本で初めての動物愛護週間の催しから100年にあたると環境省が位置づけている年です。9月20日から26日の一週間に、マイクロチップの登録情報を確認する、脱走ルートを点検する、譲渡会をのぞいてみる。そのどれか一つでも、数字の先にある一頭一頭につながっています。
出典・参考
- 統計資料「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」(環境省)
- 動物愛護管理行政事務提要の「殺処分数」の分類(環境省)
- 犬・猫の引取り及び処分の状況(都道府県・指定都市・中核市別/環境省)
- 動物の愛護及び管理に関する法律(e-Gov法令検索)
- 動物の愛護及び管理に関する法律施行規則(e-Gov法令検索)
- 虐待や遺棄の禁止(環境省)
- 動物愛護週間(環境省)
- 令和8年度動物愛護週間ポスターのデザイン絵画コンクールの作品募集について(2026年4月24日/環境省報道発表)
- 令和7年度動物愛護週間 行事概要(環境省)
- 住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン(平成22年2月/環境省)
- 犬と猫のマイクロチップ情報登録について(環境省)
- 東京都統計(東京都保健医療局)
- 致死処分数の内訳(令和2年度〜令和6年度/東京都保健医療局)
- さくらねこTNRとは(公益財団法人どうぶつ基金)
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