ニャレッジ
しつけ・問題行動

猫の発情期(さかり)の行動と鳴き声|叱っても止まらない理由と飼い主ができる対策

対象の目安: 成猫

ハルしつけ・問題行動担当
・ 約13分で読めます
猫の発情期(さかり)の行動と鳴き声|叱っても止まらない理由と飼い主ができる対策

夜になると急に大きな声で鳴き続けたり、床に体をこすりつけてゴロゴロ転がったり。ある日を境に猫の様子が一変して、戸惑った経験のある飼い主さんは多いのではないでしょうか。多くの場合、その正体は発情期、いわゆる「さかり」です。発情行動は困った行動に見えますが、しつけの失敗でも性格の問題でもなく、本能に根ざした生理現象です。だからこそ叱っても止まらず、理由を知ったうえで環境を整えることが対処の出発点になります。ここでは発情が始まる時期やサインを整理しながら、飼い主が家庭でできる対策と、根本的な向き合い方を落ち着いてまとめました。

発情期(さかり)とは|猫は季節繁殖動物

猫は、日照時間の影響を受けて発情する季節繁殖動物です。日が長くなる春から夏にかけて発情のピークが訪れ、暖かく子育てのしやすい季節に出産できるよう、体のリズムが整っています。

ペットライン(専門家監修)は、猫を日照時間の影響を受ける季節繁殖動物とし、日照時間が14時間を超えると発情し、春(2〜4月)と夏(6〜8月)が発情のピークになるとしています。

ここで見落としがちなのが、室内飼いの猫です。発情は自然の太陽光だけでなく、家の照明のような人工の光でも引き起こされます。夜遅くまで明かりのついた部屋で暮らしていると、季節に関係なく発情することがあり、発情の期間も長引きやすくなります。「うちは完全室内飼いだから」と油断はできません。

ねこのきもち(獣医師監修)は、家の照明に長く当たる可能性のある室内飼いの猫は、発情期が長くなったり、季節に関係なく発情が起きたりすることもあるとしています。

発情が始まる時期(性成熟の月齢)

初めての発情を迎える月齢には幅があり、個体差も大きいのが実際のところです。おおまかな目安として、メスのほうが早く、生後6〜12か月ごろ(早い個体では4か月ごろから)に初回の発情を迎えることが多いとされています。オスはやや遅れて、生後8〜12か月ごろに性成熟し、スプレーやマウンティングといった発情特有の行動が出てきます。長毛種は成熟がゆっくりで、発情が遅めになる傾向もあります。

ねこのきもち(獣医師監修)は、メスの初回発情を生後6か月〜12か月ごろ(長毛種は12か月以降)、オスは生後9か月以降を目安とし、それより早い時期に発情特有の行動が見られることもあるとしています。

ペットライン(専門家監修)は、メスは生後4〜12か月ごろから繁殖できるようになり、オスは生後8〜12か月齢ごろからマーキングやマウンティングといった行動が見られるようになるとしています。

思っていたより早く発情が来た、という声は珍しくありません。まだ子猫の面影が残る時期でも発情する可能性があるため、避妊・去勢を検討している場合は、後述するように早めに獣医師へ相談しておくと安心です。

メスの発情サイン

メスの発情でもっとも目立つのが、普段は聞かないような大きな独特の声で鳴く「盛り鳴き」です。「にゃおーん」と遠吠えのように何度も繰り返し、とくに夜間に鳴くことが多く、飼い主の眠りを妨げるほどになることもあります。声だけでなく、体の動きにも特徴が出ます。

  • 床や家具、飼い主の体に顔や体をこすりつける
  • 背中を床につけてゴロゴロ転がる(ローリング)
  • 胸とおなかを床につけ、腰を高く上げて後ろ足で足踏みする姿勢(ロードーシス)
  • それまで静かだった子も家中を落ち着きなく走り回る
  • 食欲が落ちて、食事の量が減ることがある

これらはオスに自分の存在をアピールするための本能行動で、しつけで身についたものではありません。なお、犬の発情のような出血はほとんど見られないのも猫の特徴です。

光が丘動物病院グループは、メス猫の発情サインとして、大きな声で繰り返し鳴く、胸とおなかを床につけて後ろ足で足踏みする姿勢(ロードーシス)、床に背中をつけて転がるローリング、家中を走り回る、食欲が落ちる、犬と違い出血はほぼないことを挙げています。

メモ

盛り鳴きは、夜鳴きや要求鳴きと重なって見えることがあります。発情が背景にある鳴き声は避妊・去勢で落ち着くことが多い一方、要求や不安による鳴きは対応が異なります。鳴き声全般の向き合い方は

もあわせて参考にしてください。

オスの発情行動

オスには決まった発情周期はなく、近くに発情したメスがいると、そのにおいや鳴き声に誘発されて発情行動が現れます。代表的なのが、壁や家具に少量の尿を吹きかけるスプレー行動(マーキング)です。普段のトイレとは別に、立ったまま後方へ尿を飛ばすのが特徴で、においも強くなります。

このほか、ふだんより大きな声で鳴く、外に出たがってドアや窓の前で待ち構える、そわそわして落ち着かない、人や同居猫に馬乗りになる、気が立って攻撃的になる、といった変化が見られます。とくに外へ出たがる気持ちは強く、わずかな隙間から脱走してしまう事故につながりやすいので注意が必要です。

ねこのきもち(獣医師監修)は、オス猫の発情期には外に出たがる、ふだんより大きな声で鳴く、マーキング(スプレー行動)、攻撃的になる、人や同居猫に馬乗りになるといった行動がみられるとしています。

スプレーは一度習慣づくと去勢後も残ることがあるため、早めの対応が肝心です。マーキングそのものの掃除や予防のコツは、別記事「猫のスプレー・マーキング対策」にまとめています。

叱っても止まらない|家庭でできる対策

大前提として、発情行動は叱ってやめさせられるものではありません。性ホルモンの分泌による生理現象なので、叱ったり大きな音で驚かせたりしても止まらず、むしろ猫に不安やストレスを与えてしまいます。家庭でできるのは、発情のエネルギーをうまく逃がし、事故や近隣トラブルを防ぐ環境づくりです。

にゅうた動物病院は、猫の発情は性ホルモンの過剰分泌による生理現象が原因であるため、しつけや薬では抑制が難しいとしています。

まず、昼間によく遊ばせて体力を発散させましょう。猫じゃらしなどで狩りの本能を満たす遊びを取り入れ、キャットタワーでの上下運動も加えると、余ったエネルギーを消費できます。次に、窓や玄関を開けっぱなしにせず、室内の気密性を高めて外のにおいを入れないこと。オスは外から漂うメスのフェロモンで発情が刺激されるため、外気を遮るだけでも落ち着きやすくなります。あわせて、網戸のロックや脱走防止柵で、飛び出し事故を防ぐ備えをしておきましょう。脱走対策の具体策は、別記事「猫の脱走防止対策」も参考になります。

発情や環境変化によるストレスの緩和には、猫のフェロモンに似た成分の製品を補助的に使う方法もあります。落ち着ける環境づくりの一助として検討してもよいでしょう。ただし発情そのものを止める薬ではない点と、使い方の注意は守ってください。

フェリウェイ(公式)は、環境の変化に敏感な猫向けのフェロモン製品で、マーキング対策として毎日スプレーする、通院時のストレス軽減に使うなどとし、猫には直接噴霧しないよう案内しています。

発情期に家庭でできる対策リスト

  • 叱ったり大きな音で驚かせたりして、無理に止めようとしていないか
  • 昼間によく遊ばせ、キャットタワーの上下運動でエネルギーを発散できているか
  • 窓や玄関を閉め、室内の気密性を高めて外のにおいを入れない工夫をしているか
  • 網戸ロックや脱走防止柵で、外へ飛び出さない備えをしているか
  • スプレーされた場所はすぐに掃除して、においを残さないようにしているか
  • 発情のストレス緩和にフェロモン製品などの補助も検討したか(猫に直接噴霧しない)
  • 鳴き声で近隣に迷惑がかかりそうなら、あらかじめ一言伝えているか
  • 根本対策として避妊・去勢手術の時期を獣医師に相談しているか
初めての発情のとき、夜通し鳴き続ける愛猫にこちらが参ってしまいました。叱っても効果はなく、かわいそうになるばかり。昼間にたっぷり遊んで、窓を閉め切ってにおいを遮ったら少しは落ち着きましたが、根本的には避妊手術を受けさせようと、かかりつけの先生に時期を相談しました。早めに動いてよかったと思っています。

根本対策としての避妊・去勢手術は獣医師と相談

繰り返す発情のストレスや、鳴き声・スプレーといった行動を根本から抑えたいときの選択肢が、避妊・去勢手術です。手術によって性ホルモンの分泌が大きく減り、発情そのものが起きにくくなります。望まない繁殖を防ぐという意味も大きく、一部の生殖器の病気のリスクを下げることも期待されます。

にゅうた動物病院は、避妊手術を行うと卵巣や子宮が取り除かれることでホルモン分泌が大幅に減少し、発情期が訪れなくなるとし、手術を検討する際にはかかりつけの獣医師とよく相談し、愛猫の健康状態に合ったタイミングで実施するようにと述べています。

手術の時期には目安がありますが、体格や健康状態、生活環境によって適切なタイミングは変わります。オスでは、スプレーや大声で鳴く・攻撃的になるといった行動が一度習慣化すると去勢後も残ることがあるため、行動が出始める前後が勧められることが多いとされています。とはいえ月齢だけで機械的に決めるものではないので、必ず動物病院で相談して判断しましょう。

光が丘動物病院グループは、オス猫の去勢は生後5〜6か月ごろが一つの目安で、スプレーや大きな声で鳴く・攻撃的になるといった行動は一度習慣化すると去勢後も残ることがあるため行動が出始める前後が勧められるとし、最適な時期は月齢だけでなく体格や健康状態、生活環境も含めて動物病院で相談するようすすめています。

手術の内容やメリット・デメリット、費用や助成金の考え方などをもう少し詳しく知りたい場合は

を読んでから、かかりつけの獣医師と話し合うとイメージしやすいはずです。手術をするかどうか、いつ行うかは、猫の状態を診てもらったうえで納得して決めてください。

近隣トラブルへの配慮も忘れずに

発情期の大きな鳴き声は、家の中だけの問題にとどまりません。とくに夜間の盛り鳴きは、思っている以上に外へ響き、集合住宅や住宅街ではご近所への騒音になり得ます。発情が続きそうなときは、窓を閉めて音がもれにくいようにする、鳴きやすい夜の前に遊んで発散させておくといった工夫に加え、事情をあらかじめ一言伝えておくと、余計なトラブルを避けやすくなります。

にゅうた動物病院は、発情期の鳴き声は飼い主のみならずご近所への騒音にもなり得るため、対策が求められることもあるとしています。

まとめ

猫の発情期(さかり)は、日照時間に反応する季節繁殖のリズムによるもので、春から夏に多い一方、室内の照明環境では季節を問わず起こり得ます。初回発情の月齢はメスが生後6〜12か月ごろ(早い個体では4か月ごろから)、オスが生後8〜12か月ごろが目安ですが、個体差があります。メスは盛り鳴きやローリング、腰を上げる姿勢や落ち着きのなさ、食欲の変化などで、オスはスプレーや大声、脱走したがる行動で発情を示します。いずれも本能による生理現象で、叱っても止まりません。家庭では、遊びでの発散、窓を閉めて外のにおいを遮ること、脱走防止、そして近隣への配慮で乗り切りつつ、繰り返す発情を根本から抑えたいなら避妊・去勢手術を、時期も含めて獣医師に相談するのが現実的な向き合い方です。

発情期の鳴き声は叱ればおさまりますか?
叱っても止まりません。発情は性ホルモンによる生理現象で、しつけや叱責で抑えられるものではなく、大きな音で驚かせるのも不安やストレスを与えて逆効果です。昼間によく遊ばせて発散させ、窓を閉めて外のにおいを遮るなど環境を整え、根本的に抑えたい場合は避妊・去勢手術を獣医師に相談しましょう。
完全室内飼いなら発情しないのでしょうか?
避妊・去勢をしていなければ、室内飼いでも発情します。発情は太陽光だけでなく家の照明などの人工の光でも引き起こされるため、明るい室内で暮らす猫は季節に関係なく発情したり、発情期が長引いたりすることもあります。外に出ないから安心とは言い切れません。
避妊・去勢手術はいつ受けるのがよいですか?
生後5〜6か月ごろを一つの目安とする情報もありますが、適切な時期は体格や健康状態、生活環境によって変わります。スプレーなどの行動は習慣化する前のほうが残りにくいとされる一方、月齢だけで決めるものではないので、かかりつけの動物病院で猫の状態を診てもらったうえで相談して決めてください。

本記事は一般的な情報提供であり、診断や治療、手術の適否を判断するものではありません。避妊・去勢手術の要否や時期、発情に伴う体調の変化などは、かかりつけの動物病院で猫の状態を診てもらったうえでご相談ください。

出典・参考

この記事をシェア

関連する記事