ニャレッジ
しつけ・問題行動

猫のスプレー・マーキングの原因とやめさせ方|叱らない対処と掃除のコツ

対象の目安: 成猫中心(去勢避妊前後の猫)

ハルしつけ・問題行動担当
・ 約9分で読めます
猫のスプレー・マーキングの原因とやめさせ方|叱らない対処と掃除のコツ

立ったまま壁や家具にお尻を向けて、少量の濃いおしっこをかける。これがスプレー行動です。トイレの失敗とは見た目も意味も違い、猫にとっては本能に根ざした「主張」のひとつです。理由を知らずに叱ってしまうとかえって悪化することもあるため、まずは仕組みを正しく理解し、原因に合わせて落ち着いて向き合っていきましょう。

スプレーと通常の排尿・マーキングの違い

まず押さえておきたいのは、スプレーが普通のトイレ排泄とは別物だということです。ペットライン(獣医師監修)の解説によると、スプレーは「いつもより濃いおしっこをかける行為」とされています。

ペットラインの記事に、スプレーはいつもより濃いおしっこをかける行為であるとの記載があります。

通常の排尿が「体外に尿を出すこと」自体を目的とするのに対し、スプレーは「におい付け」が目的です。また、マーキングという広いくくりで見ると、顔のこすりつけや爪とぎも自分のにおいを残すマーキング行動に含まれます。

行動姿勢・特徴主な意味
通常の排尿しゃがんでトイレでまとまった量を出す排泄(生理的欲求)
スプレー立ったまま壁や家具へ少量の濃い尿をかける縄張りの主張・不安の表現
顔のこすりつけ・爪とぎ物に頬や前足をすりつける自分のにおいを残すマーキング

顔のこすりつけや爪とぎは穏やかなマーキングで、問題になることは多くありません。困りごとになりやすいのは、においが強く残るスプレーです。

なぜスプレーをするのか

スプレーの背景には、いくつかの動機があります。共立製薬の解説では、原因として次の3つが挙げられています。

共立製薬の記事に、マーキングの原因として性的行動・防衛威嚇行動・不安の3つが挙げられています。

  • 交配相手へアピールする性的な行動
  • 競争相手に自分の存在を誇示する防衛・威嚇の行動
  • 不安によるもの(新しい猫・犬・人や物が加わる、家族がかまえないなどがきっかけ)

ペットラインの解説でも、猫は不安を感じたときなどにスプレーを行い、自分の縄張りを強く主張するとされています。去勢していないオスがやることが多い一方で、去勢したオスやメスにも見られ、発情中のメスを引きつけるオスの性行動の一つでもあります。多頭飼いで最も古株のボス猫がすることもあるとされています。

ペットラインの記事に、去勢していないオスに多いが去勢オスやメスにも見られること、発情中のメスを引きつける性行動であること、多頭飼いの古株のボス猫がすることもあるとの記載があります。

ヒント

「うちの子は不安なのか、縄張りを主張したいのか」を見極めるには、いつ・どこで・どんなときに始まったかを思い出すのが手がかりになります。新しい同居動物や来客、引っ越しのあとに始まったなら不安が、特定の窓辺や玄関なら外猫への縄張り主張が疑われます。

去勢・避妊手術の効果と限界

性的な動機が背景にある場合、去勢・避妊手術は有効な対策です。共立製薬の記載によると、去勢・不妊手術は効果的で、その効果はオス猫で90パーセント、メス猫で95パーセントとの報告があるとされています。

共立製薬の記事に、去勢不妊手術の効果はオス猫で90パーセント、メス猫で95パーセントとの報告があるとの記載があります。

ペットラインの解説でも、オスは性ホルモンが関係する場合が多く、去勢手術で大体は防げるとされています。ただし、去勢しても変わらない猫もいると明記されています。

ペットラインの記事に、オスは性ホルモンが関係する場合が多く去勢手術で大体は防げるが、去勢しても変わらない猫もいるとの記載があります。

実際、Vet's Eyeが行った獣医師100名へのアンケートでは、去勢後もスプレーを続ける猫が「数パーセント程度いる」との回答が約47パーセント、「ほとんどいない」が約29パーセントという結果が示されています。

Vet's Eyeの獣医師100名アンケートで、去勢後もスプレーを続ける猫が数パーセント程度いるとの回答が約47パーセント、ほとんどいないが約29パーセントとの記載があります。

つまり、手術は多くの猫で有効ですが、すべての猫でスプレーが止まるわけではありません。手術後も続く場合は、性的な動機以外の不安や縄張りが関係していると考えて、環境面の対処に切り替えていきます。

叱らない対処と環境改善

スプレーは本能に根ざした行動なので、現場を見つけて叱っても猫は理由を理解できず、隠れてするようになるなど逆効果になりがちです。叱るのではなく、においを残さないことと、環境を整えることに集中しましょう。

においはすぐにしっかり拭き取る

ペットラインの解説では、においはなるべく早く中性洗剤やアルコール、ペット用消臭剤でしっかり拭き取るとされています。

ペットラインの記事に、においはなるべく早く中性洗剤やアルコール、ペット用消臭剤でしっかり拭き取るとの記載があります。

においが残ると同じ場所を繰り返しやすくなるため、再発防止の基本になります。

場所と環境を工夫する

共立製薬では、対処としてスプレー場所に食器を置く、猫を驚かす物を置く、部屋の模様替え、市販の忌避剤の使用などが挙げられています。

共立製薬の記事に、対処としてスプレー場所に食器を置く、猫を驚かす物を置く、部屋の模様替え、市販の忌避剤の使用が挙げられています。

スプレーした場所の「意味」を変えることで、その場所を選びにくくする狙いです。

トイレと同居環境を見直す

Vet's Eyeのアンケートでは、対策のうち約9割の獣医師が同意した項目として、次のものが挙げられています。

Vet's Eyeのアンケートで、約9割の同意が得られた対策としてトイレを清潔に保つ、新入り猫は慣れるまで生活環境を分ける、スプレー場所をきれいに掃除する、トイレの数を増やす場所を変えるが挙げられています。

スプレー対策チェックリスト

  • トイレを清潔に保てているか
  • 新しく迎えた猫は慣れるまで生活環境を分けているか
  • スプレーした場所のにおいをきれいに掃除できているか
  • トイレの数を増やしたり場所を変えたりしてみたか
  • 不安のきっかけ(来客・同居動物・模様替え)に心当たりがないか

トイレの失敗とスプレーは原因も対処も異なります。しゃがんで床に粗相する場合はトイレ環境そのものの見直しが中心になるため、あわせて

も参考にしてください。新しい猫を迎えて始まったときは、対面の進め方が鍵になります。

あわせて読みたい

多頭飼いと先住猫との顔合わせ|段階的な進め方とストレス対策

で段階的な慣らし方を確認してみましょう。

注意

今までしなかった猫が急にスプレーのような行動を始めた、頻尿や血尿を伴う、トイレに何度も行くのに少ししか出ない、といった場合は、行動の問題ではなく膀胱炎などの泌尿器の病気が隠れている可能性があります。自己判断せず、早めに動物病院を受診してください。

去勢済みのオスが窓辺でスプレーを始めて焦りました。叱らずに、においを毎回しっかり消してトイレを1つ増やしたら、少しずつ落ち着いてきました。原因が外猫だと分かってからは窓の対策も効きました。

よくある質問

スプレーは去勢手術をすれば必ず止まりますか?
必ず止まるわけではありません。共立製薬の記載では効果はオスで90パーセント、メスで95パーセントとの報告がありますが、ペットラインの解説でも去勢しても変わらない猫がいるとされています。手術後も続く場合は不安や縄張りなど別の原因を疑い、環境面の対処に切り替えましょう。
スプレーした猫を叱ってもいいですか?
叱るのは避けてください。スプレーは本能に根ざした行動で、叱っても理由を理解できず、隠れてするようになるなど逆効果になりがちです。においを残さない掃除と環境改善に集中する方が効果的です。
通常のトイレの失敗とスプレーはどう見分けますか?
通常の排尿はしゃがんでまとまった量を出すのに対し、スプレーは立ったまま壁や家具に少量の濃い尿をかけるのが特徴です。ペットラインの解説でもスプレーはいつもより濃いおしっこをかける行為とされています。
急にスプレーを始めて血尿もあります。どうすればいいですか?
急な発症や血尿、頻尿を伴う場合は膀胱炎などの病気の可能性があります。行動の問題と決めつけず、まず動物病院を受診してください。

まとめ

スプレーは、縄張りの主張や不安、発情といった理由から行われる本能的な行動です。去勢・避妊手術は多くの猫で効果が高い一方、すべての猫で止まるわけではありません。大切なのは、叱らずに、においをすぐ消すこと、そしてトイレの清潔さや数、同居環境の分け方といった環境を整えることです。急にスプレーを始めた、血尿や頻尿があるといった場合は病気の可能性もあるため、動物病院への相談を優先してください。原因に寄り添って一つずつ整えていくことが、人にも猫にも穏やかな暮らしへの近道になります。

出典・参考

この記事をシェア

関連する記事