猫が飼い主を舐める理由とやめさせ方|愛情・毛づくろい・ストレスのサインを読む
対象の目安: 全ライフステージ

くつろいでいると、猫がペロペロと手や顔を舐めてくる。かわいい反面、ザラザラの舌で舐められると地味に痛かったり、化粧品や薬を塗った肌を舐められて「大丈夫かな」と心配になったりもします。猫が人を舐めるのは、そのほとんどに理由があり、多くは仲間への親愛のしぐさです。ここでは、猫が飼い主を舐める理由を整理しながら、舐められて困るときに叱らずやめさせていく方法と、舐めさせてはいけないもの、受診の目安までまとめました。
猫が飼い主を舐める主な理由
まずは、猫がなぜ人を舐めるのかを整理します。理由が分かると、やめさせたいときの対応も見えてきます。
愛情・信頼のあらわれ(アログルーミング)
いちばんの土台にあるのが、仲間への愛情表現です。猫は仲の良い猫同士でおたがいを舐め合う「アログルーミング」という毛づくろいをします。飼い主を舐めるのは、これと同じで、あなたを仲間だと認めた親愛のしるしです。PETLIVESの解説では、飼い主を舐めるのはアログルーミングと同じで仲良しのしるし・愛情表現であり、飼い主の気を引くためや、飼い主の感情を読んで気持ちを穏やかにするために舐めることもあるとされています。
キミおもい(エリエール)の獣医師監修記事でも、ゆっくり優しく舐めるのは「あなたが大好き」という気持ちのあらわれ、短くチョイと舐めるのは「ありがとう」「気持ちよかったよ」といった感謝の気持ちを伝えているサインだと説明されています。子猫のころ母猫に舐めてもらった記憶とも結びつく、甘えの延長といえます。
しぐさから気持ちを読む考え方は あわせて読みたい 猫の気持ちの読み方|しっぽ・耳・目・ゴロゴロ・スリスリが表すサイン
味やにおいが気になる
もう一つ多いのが、味やにおいへの反応です。人の手や顔には汗や皮脂、化粧品やハンドクリームのにおいがついています。猫は気になるにおいを感じると、それを舐めて取り除こうとします。ねこのきもちの解説では、気になるにおいを舐め取ってなくすことで安心感や満足感を得ようとしていること、足や顔まわりなど特定の部位を頻繁に舐める場合は、においを取り除きたい気持ちが強くかかわっている可能性があると説明されています。
つまり「よく舐められる場所」は、猫にとってにおいが気になる場所でもあります。汗をかいたあとや、クリーム・化粧品をつけた直後に舐めてくるなら、味やにおいが引き金になっていると考えてよいでしょう。
かまってほしい・要求
「遊んでほしい」「ごはんが欲しい」という要求で舐めることもあります。キミおもいの解説では、執拗に舐めてくる場合は「ごはんが欲しいよ」「遊んでほしいな」といった要求のサインだとされています。舐めるたびにこちらが構うと、「舐めればかまってもらえる」と猫が学習し、要求のための行動として定着していきます。
執拗に舐めてくる場合は「ごはんが欲しいよ」「遊んでほしいな」といった要求のサインであることについて。ガイア動物病院・松田唯獣医師監修のキミおもい(エリエール・大王製紙)より。
リラックス・不安を落ち着かせる
舐めるという行動そのものに、気持ちを落ち着ける働きもあります。ねこのきもちの解説では、においを舐め取る行動を通して気持ちが落ち着き、リラックスしやすくなると説明されています。キミおもいの記事でも、自分のにおいで上書きして安心できる空間を作ろうとする、ストレスがかかわる舐め方があるとされています。飼い主のそばで安心しているときの舐めもあれば、不安なときに自分をなだめる舐めもあるということです。
気になるにおいを舐め取る行動そのものでも気持ちが落ち着き、リラックスしやすくなると考えられることについて。ねこのきもちWEB MAGAZINEより。
自分のにおいで上書きして安心できる空間を作ろうとする、ストレスがかかわる舐め方があることについて。ガイア動物病院・松田唯獣医師監修のキミおもい(エリエール・大王製紙)より。
ザラザラの舌で舐められると痛いのはなぜ
「舐められると痛い」という素朴な悩みには、猫の舌の構造が関係しています。猫の舌の表面がザラザラなのは、糸状乳頭と呼ばれる無数の小さな突起が並んでいるためです。PETLIVESの解説では、この糸状乳頭が毛づくろいのときのクシ代わりになり、肉食動物として骨についた肉を削ぎ落とすのにも役立ち、仲の良い猫同士が舐め合うコミュニケーションでも使われると説明されています。
毛の汚れをかき出せるほどの突起なので、人の皮膚を何度も舐められると、こすれて赤くなったり、ヒリヒリすることがあります。痛いからといって手で押しのけたり叱ったりすると、猫は驚いたり不安になったりします。痛いときこそ、次に紹介する「叱らないやめさせ方」で、そっと切り上げてあげましょう。
舐められて困るときのやめさせ方
やめさせたいときの基本は、叱らずに「舐めても思うようにならない」状況をつくることです。キミおもいの獣医師監修記事で挙げられている対処を軸に整理します。
- 1
低い声で「痛い」と短く伝える
大きな声で怒鳴るのではなく、低めの声で「痛い」と短く伝えます。感情的に叱ると、猫は不安になったり、逆に反応を面白がったりします。 - 2
そっと手を引いて距離を取る
舐められている手をそっと引き、物理的に距離を取ります。舐める対象がなくなれば、行動は自然に途切れます。それでも続くなら、静かに立ち上がってその場を離れます。 - 3
おもちゃで気をそらす
舐め始めたら、おもちゃで遊びに誘って気をそらします。舐める以外の楽しいことに関心が向けば、興奮や退屈がまぎれます。 - 4
遊びと安心できる場所で土台を整える
要求や不安が背景なら、1日1回以上の遊び時間を設け、落ち着ける安心スペースを用意します。満たされていれば、舐めで気を引く必要が減っていきます。
要求で舐めてくる場合は、噛みつきや要求鳴きと同じで、「舐めた瞬間に構わない」ことが鍵になります。人の手で遊ばせず、おもちゃ越しの遊びと決まった生活リズムで満たしていく考え方は あわせて読みたい 猫の噛みつき・甘噛みの理由とやめさせ方|叱らない対処と受診の目安 あわせて読みたい 猫がなつかない…信頼関係の築き方|警戒心の強い猫・保護猫と仲良くなるコツ
舐めさせてはいけないもの|化粧品・薬・アロマに注意
やめさせ方以前に、そもそも舐めさせてはいけないものがあります。化粧品やハンドクリーム、塗り薬、湿布、アロマ(精油)を塗った肌です。猫は人と体のつくりが違い、分解できない成分があります。
注意
もし薬や化粧品を塗った肌を舐めてしまい、よだれが増える・元気がない・震えるといった様子が出たら、様子を見ずに、かかりつけの動物病院に連絡してください。何をどれくらい舐めた可能性があるかを伝えられると、受診がスムーズです。
舐めさせないための工夫
- ハンドクリームや化粧品を塗った直後は、猫と少し距離を取る
- 塗った手や顔を、乾く前に猫に近づけない
- 精油(アロマ)は使う場所・保管に気をつけ、塗った肌を舐めさせない
- 湿布や塗り薬を貼った・塗った部位を猫に見せない・触らせない
- 舐めてしまい体調変化があれば、動物病院に連絡する
受診・行動診療に相談する目安
人を舐めるのは基本的に自然な行動ですが、次のような変化があるときは、ストレスや体の不調が隠れていることがあります。とくに、人だけでなく自分の体を過剰に舐めるようになったときは注意が必要です。ノヤ動物病院の解説では、猫が体を舐め続ける背景にはストレス(環境の変化・トイレの不備・生活リズムの変化など)や、かゆみ・赤み・脱毛といった皮膚トラブル、膀胱炎や腰痛・外傷など体の内外の異常があることが挙げられ、舐めすぎて皮膚に赤みや脱毛がある、特定の部位ばかりしつこく舐める、常に体を舐めているように見えるといった場合は受診がすすめられています。
急に人を舐める回数が増えた、落ち着きなく舐め続ける、食欲や様子の変化をともなう、といったときも、自己判断でやめさせようとするだけでなく、動物病院や行動診療に相談すると安心です。自分の体を舐めすぎて毛が薄くなる過剰グルーミングについては、原因と対処をくわしく あわせて読みたい 猫の過剰グルーミング(舐めすぎ)と脱毛|心因性かも?原因・受診の見極め・対策
よくある質問
猫が飼い主を舐めるのは愛情表現ですか
ザラザラの舌で舐められて痛いのですが、やめさせても大丈夫ですか
ハンドクリームを塗った手を舐められました。危険ですか
どんなときに動物病院へ相談すべきですか
まとめ
猫が飼い主を舐めるのは、仲間同士の毛づくろい(アログルーミング)に由来する愛情・親愛のしぐさが土台にあります。そこに、汗や化粧品の味やにおいが気になる、かまってほしいという要求、自分を落ち着かせるリラックスや不安、といった理由が重なります。ザラザラの舌は糸状乳頭という突起の集まりで、何度も舐められると痛かったり肌が荒れることがあります。やめさせたいときは叱らず、低い声で「痛い」と伝えてそっと手を引く、おもちゃで気をそらす、遊びと安心できる場所で土台を整えるのが基本です。化粧品・薬・アロマ・湿布を塗った肌は舐めさせないよう気をつけ、舐めて体調が変わったら動物病院へ。そして、自分の体を過剰に舐めて脱毛があるなど気になる変化があるときは、ストレスや不調のサインとして、かかりつけの動物病院や行動診療に相談してください。
出典・参考
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