猫の睡眠時間はどのくらい?よく寝るのは大丈夫?平均時間と眠りの仕組み、見守り方
対象の目安: 全ライフステージ

気づけば愛猫はいつも寝ている。朝ごはんのあとに寝て、昼も寝て、夕方もまた寝ている。「こんなに寝ていて大丈夫?」「もしかして具合が悪いの?」と心配になったことはありませんか。実は、猫が1日の大半を寝て過ごすのはごく自然なことで、狩りをして生きてきた動物としての習性に深く根ざしています。この記事では、猫の平均睡眠時間の目安、浅い眠りを繰り返す独特な眠りの仕組み、年齢による変化、寝る場所や寝相から読み取れること、そして「いつもと違う眠り方」が病気のサインになりうるケースまで、獣医療情報をもとに落ち着いて整理します。
猫の平均睡眠時間はどのくらい?
猫の睡眠時間は、成猫でおよそ12〜16時間が目安とされています。1日は24時間ですから、実に半分から3分の2を寝て過ごしている計算です。猫専門病院の獣医師が監修した解説でも、猫の平均睡眠時間は1日12〜16時間で、子猫や老猫はさらに長く眠る傾向があるとされています。
ただし、この数字は資料によって幅があります。ペットラインの解説では平均は約14時間とされ、米国のSleep Foundationは、半数以上の猫が1日12〜18時間眠り、約40%は18時間以上眠るというデータを紹介しています。かやま動物病院の解説では成猫は14〜16時間程度とされています。測り方や対象によって数字は変わるので、「おおむね12〜16時間、長い子ではそれ以上」とゆるやかに捉えておくのがよいでしょう。
年齢別の目安をまとめると、次のようになります。
| ライフステージ | 睡眠時間の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 子猫(〜1歳ごろ) | 18〜20時間程度 | 成長のため1日の大半を眠って過ごす |
| 成猫(1〜7歳ごろ) | 12〜16時間程度 | 資料により14時間前後〜18時間と幅がある |
| シニア猫(10歳前後〜) | 再び長くなる | 子猫と同程度まで増えることもある |
つまり、成猫が日中ほとんど寝ているように見えても、それ自体は異常ではありません。大切なのは時間の長さそのものより、「その子のいつも」と比べて変化がないかという視点です。
なぜそんなに寝るのか:狩りをする動物の体力温存
猫がこれほど長く眠るのは、怠けているからではなく、狩りをして生きてきた肉食動物の名残と考えられています。野生下の猫は、獲物を捕まえる一瞬に全力を注ぐ必要があり、それ以外の時間はできるだけ体力を温存しておく必要がありました。「寝られるときに寝てエネルギーを蓄える」ことが、そのまま生存戦略だったわけです。
かやま動物病院は、犬や猫の睡眠時間が長いのは狩猟本能の名残で、獲物を捕まえるときに全力を発揮するため、それ以外の時間は体力を温存する必要があったことに由来すると解説しています。出典:かやま動物病院
飼い猫は狩りをする必要がなくなりましたが、この体のリズムは受け継がれています。ごはんの前後にひと寝入りし、遊んだあとにまた眠る。「食べる・遊ぶ(狩る)・眠る」を繰り返す暮らしは、猫にとって本来の生活リズムに近いものなのです。
長く寝ても熟睡は少ない:浅い眠りと多相性睡眠
「12〜16時間も寝ているなんてうらやましい」と思うかもしれませんが、猫は人間のようにまとめて熟睡しているわけではありません。猫の眠りには、大きく2つの特徴があります。
1つめは、眠りの大部分が浅い眠りだということです。猫の睡眠は浅い眠り(レム睡眠)と深い眠り(ノンレム睡眠)を交互に繰り返しますが、その大半はウトウトとした浅い状態です。かやま動物病院の解説では、犬や猫の睡眠の約80%が浅い眠りで、深い眠りは20%程度とされています。PECOの獣医師監修記事でも、1回の睡眠サイクルのうち深いノンレム状態は6〜7分ほどしかなく、しっかり熟睡している時間は1日合計3時間程度と紹介されています。物音にすぐ気づいて耳だけ動かしたり、パッと目を開けたりするのは、敵や獲物の気配に即座に反応できるよう、浅い眠りが中心になっているためです。
2つめは、短い眠りを1日に何度も繰り返す「多相性睡眠」というスタイルです。人間のように夜にまとめて眠るのではなく、数十分〜1時間ほどの眠りを1日に何回にも分けてとります。Sleep Foundationによると、猫の1回の眠りは平均78分ほどで、これを繰り返して合計の睡眠時間を稼いでいます。日中に何度もウトウトしているのは、まさにこの多相性睡眠そのものです。
メモ
猫は夜行性ではなく「薄明薄暮性」
昼間よく寝ている理由をもう1つ挙げるなら、猫の活動時間帯の習性があります。猫は夜行性と思われがちですが、正確には「薄明薄暮性(はくめいはくぼせい)」。主に明け方と夕暮れの薄暗い時間帯に活発になる動物です。獲物となる小動物が動き出す時間帯に合わせて、活動のピークが2回あると考えられています。
同記事では、猫は夜行性とよく勘違いされるが正確には薄明薄暮性の動物で、主に明け方と夕暮れの時間帯に活発に行動する性質があると解説されています。出典:眠りのレシピ(西川)
つまり、明け方や夕方に元気に動き回り、日中と深夜はよく寝ている、というのが猫の標準的な1日です。昼間ぐっすり寝ているのは、活動のピークに備えた自然な充電時間と考えてよいでしょう。一方、室内飼いの猫は飼い主の生活リズムに合わせて起きたり眠ったりするようになる傾向もあるとされ、人と暮らすうちに夜まとまって寝てくれる子も少なくありません。明け方や深夜に走り回る「夜の運動会」で困っている場合の対策は、 あわせて読みたい 猫の夜の運動会はなぜ起こる?深夜に走り回る理由と叱らない対策
寝る場所・寝相からわかる猫の気持ち
猫がどこでどんな姿勢で寝ているかには、そのときの安心度が表れます。ペットラインの解説をもとに、代表的な寝方と状態の目安をまとめました。
| 寝方・寝る場所 | 状態の目安 |
|---|---|
| 仰向けでお腹を出して寝る | 完全にリラックス。急所のお腹を見せられるほど安心している |
| 横向きで頭を床につけて寝る | リラックスしている |
| 香箱座りでウトウト | かなりリラックスしている |
| 体を丸めて寝る | 警戒しながらの休息。敵から隠れる姿勢のため、寝つつも警戒していることがある |
| 足の裏を床につけ頭を上げたまま | 警戒態勢。すぐ動ける姿勢を保っている |
| 高い場所・狭い場所で寝る | やや警戒気味。安全を確保できる場所を選んでいる |
また、猫は家の中の快適な場所を見つける名人です。前出の猫専門病院の獣医師は「猫が寝ている場所は、家の中で一番心地いいところ」と表現しています。日当たりのよい窓辺、冬はこたつ横、夏は玄関の涼しいタイルと、季節や時間で寝場所を変えるのは、快適さを求めて移動している証拠です。いつもお腹を見せてのびのび寝ているなら、その家が安心できる場所になっているサインと受け取ってよいでしょう。
安心して眠れる環境づくり
浅い眠りが中心の猫にとって、「安心して眠れる場所があるか」は生活の質に直結します。次のポイントを目安に、寝床まわりを見直してみましょう。
猫がぐっすり眠れる環境チェック
- 静かで人の出入りが少ない場所に寝床を用意する(洗濯機やテレビの近くは避ける)
- 寝床は1か所に決めず、日当たりのよい場所・暗くこもれる場所など複数の選択肢を用意する
- キャットタワーの上など、高くて見晴らしのよい寝場所も確保する
- 室温はおおむね20〜28度、湿度50〜60%を目安に、季節に合わせて調整する
- 冬は毛布やドーム型ベッドで保温、夏は風通しのよい涼しい寝場所を用意する
- 多頭飼いでは頭数分以上の寝床を離して置き、他の猫に邪魔されない逃げ場をつくる
- 寝ている猫を無理に起こしたり、抱き上げたりしない
同記事では、猫が快適に過ごせる環境の目安として室温20〜28度、湿度50〜60%が挙げられています。出典:眠りのレシピ(西川)
ヒント
「寝すぎ?」「眠れない?」受診を考えたいサイン
よく寝ること自体は猫の正常な姿ですが、眠り方の変化が体調不良のサインになることもあります。ポイントは、睡眠時間の絶対値ではなく「その子のいつもとの違い」と「眠り以外の様子」をセットで見ることです。
まず気をつけたいのは、寝てばかりで反応が乏しくなるケースです。PECOの獣医師監修記事では、日中でも暗い場所にこもってほとんど動かないときは病気の可能性があり、毛並みの乱れや呼吸の異常を伴う場合は受診が必要とされています。かやま動物病院も、急に睡眠時間が増えて遊びへの意欲が落ちた、呼びかけへの反応が鈍いといった変化は、関節の痛みや心臓病、腎臓病、ホルモンの異常などが背景にあることがあるとしています。
逆に、シニア猫で「眠りが浅くなった・夜眠れず落ち着かない」方向の変化にも注意が必要です。高齢の猫で夜間にウロウロして鳴く、昼夜が逆転するといった様子は、認知機能不全症候群(いわゆる猫の認知症)の初期に現れやすいサインとされています。また、高齢猫で活動が増えて眠りが減り、食欲はあるのに痩せてくる場合は、甲状腺機能亢進症が隠れていることもあると報告されています。Sleep Foundationも、寝すぎの背景に腎臓病や甲状腺機能低下症など、眠れない背景に甲状腺機能亢進症などがありうると紹介しています。
注意
高齢猫の夜鳴きや昼夜逆転が気になる場合は、 あわせて読みたい 猫の認知症(高齢性認知機能不全症候群/CDS)とは、増えるシニア猫の行動変化とケア
猫の睡眠時間は1日何時間くらいが普通ですか?
1日中寝ているように見えますが、大丈夫でしょうか?
寝ているときにピクピク動いたり寝言を言ったりします。異常ですか?
高齢の猫が夜眠らなくなりました。受診した方がよいですか?
まとめ
猫の睡眠時間は成猫でおよそ12〜16時間、子猫やシニア猫では18〜20時間ほどと、1日の大半を眠って過ごします。これは狩りの一瞬に全力を出すために体力を温存してきた、猫本来の生存戦略の名残です。長く寝ていても熟睡は少なく、大部分は物音ですぐ目を覚ます浅い眠りで、短い眠りを何度も繰り返す多相性睡眠が基本。明け方と夕暮れに活発になる薄明薄暮性の習性もあって、昼間によく寝ているのはごく自然な姿です。寝相や寝場所には安心度が表れるので、お腹を出してのびのび寝ていたら、それは家が安全基地になっている証拠。静かで温度がちょうどよく、高い場所や逃げ場のある寝床を整えて、眠りを守ってあげましょう。一方で、「急に寝てばかりで遊ばない」「高齢になって夜眠れず鳴く」「眠りが減って痩せてきた」といった変化は、痛みや内臓・ホルモンの病気、認知機能の変化のサインである可能性も報告されています。その子のいつもの眠り方を知っておくことが、変化への一番の気づきになります。気になるときは自己判断せず、かかりつけの動物病院に相談してください。
出典・参考
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