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猫の認知症(高齢性認知機能不全症候群/CDS)とは、増えるシニア猫の行動変化とケア

対象の目安: シニア猫(7歳〜)

ミオ食事・健康担当
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猫の認知症(高齢性認知機能不全症候群/CDS)とは、増えるシニア猫の行動変化とケア

フードや獣医療の進歩で、15歳を超えて暮らす猫は珍しくなくなりました。長生きが当たり前になった一方で、近年あらためて注目されているのが猫の認知症、正式には高齢性認知機能不全症候群(CDS)です。夜中に大きな声で鳴く、同じ場所をぐるぐる歩く、トイレを失敗する。こうした変化は「年のせい」で片づけられがちですが、脳の老化に伴う機能低下の表れであることも、別の病気の初期症状であることもあります。この記事では、CDSがどんな状態か、よく見られる行動変化、診断や治療の考え方、家庭でできる工夫を整理します。ここで挙げるのは一般的な目安であり、気になる様子があれば自己判断せず、かかりつけの動物病院に相談してください。

猫の認知症(CDS)とはどんな状態か

猫の認知症は、加齢に伴って脳が変化し、学習・記憶・見当識(自分の状況を把握する力)などの認知機能が少しずつ低下していく状態です。人のアルツハイマー型認知症と似たしくみが指摘されており、飼い主を認識しにくくなったり、慣れた家の中で迷ったりといった様子が表れます。かつては寿命の短さから目立ちにくかったものが、猫が長生きするようになったことで、シニア期のケアの一つとして意識されるようになってきました。

無意味にうろうろ歩き回る、自分のいる場所がわからなくなって立ちすくむ、狭いところに入り込んで出られなくなる、といった様子が、猫の認知機能の低下として挙げられています。(アニコム損保 猫との暮らし大百科より)

何歳ごろから増えるのか

発症の時期には個体差がありますが、目安として10歳を過ぎるころから認知機能の低下が見られる猫が増え始め、15歳を超えると割合が大きく上がるとされています。見た目が元気でも、10歳を超えたら少しずつ様子を気にかけておくと安心です。

10歳を過ぎるころから認知機能の低下が見られる猫が増えてきて、15歳以上では半数程度の猫に何らかの症状が見られると説明されています。(アニコム損保 猫との暮らし大百科より)

シニア期全体の体の変化とあわせて見守ることが、早めの気づきにつながります。老化のサイン全般については、こちらの記事も参考にしてください。

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よく見られる行動の変化

認知症でよく語られるのは、次のような行動の変化です。一つだけで判断するものではなく、いくつかが重なって続くときに気づきやすくなります。

  • 夜中に大きな声で鳴く、鳴き方や声のトーンが変わる
  • 目的なく同じ場所を歩き回る、家の中で迷うような様子を見せる
  • トイレ以外での粗相が増える、トイレの場所が分からなくなる
  • 名前を呼んだり撫でたり誘っても反応が鈍い、飼い主を認識しにくくなる
  • 昼間に寝てばかりで夜に活動的になる(昼夜逆転)、寝ている時間が極端に長い
  • 食事や遊び、同居猫や人との関わりへの関心が薄れる

無駄鳴きや夜鳴きが最も一般的で、トイレの場所が分からなくなって粗相をする、無意味な徘徊行動、名前を呼んだり撫でたり遊びに誘っても反応しなくなる、といった変化が挙げられています。(アニコム損保 猫との暮らし大百科より)

無駄鳴き・夜鳴きの増加、トイレの粗相、徘徊行動、性格や食事の好みの変化、活動性の低下で寝ている時間が長くなる、といった行動変化が紹介されています。(ふぁみまるの獣医師監修解説より)

夜鳴きやトイレの失敗は、飼い主にとっても負担が大きい症状です。それぞれの向き合い方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

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猫の夜鳴き・要求鳴きの原因と対策|年齢別の向き合い方と受診の目安

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診断は「他の病気の除外」から

ここが猫の認知症でとても大切な点です。認知症を一つの検査でずばりと確定できる方法は、現在の獣医療では確立されていません。あらわれている症状から疑われる他の病気を検査で一つずつ除外していき、最終的に「認知症の可能性が高い」という結論にたどりつく、いわゆる除外診断になります。

認知機能不全は一つの特別な検査で診断できるものではなく、疑われる際はまず他の身体の異常がないかを確認し、他の病気を除外したうえで診断すること、認知症と他の病気が同時に起こることもあると説明されています。(埼玉県獣医師会の解説より)

というのも、夜鳴きや徘徊、粗相、反応の鈍さといった症状は、認知症以外の病気でも起こり得るからです。甲状腺機能亢進症などのホルモンの異常、高血圧、関節の痛み、膀胱炎、腎臓の病気、脳の腫瘍など、シニア猫がかかりやすい不調の多くが似た様子を見せます。これらは治療で改善できることもあるため、認知症と決めつけて見過ごすと、本来ケアできる病気の対応が遅れてしまいます。

あらわれている症状から疑われる他の病気の可能性を全て検査で除外して認知症という結論にたどりつくこと、症状は甲状腺機能亢進症や膀胱炎、脳腫瘍など別の病気でも現れる可能性があると解説されています。(ふぁみまるの獣医師監修解説より)

注意

「年だから認知症だろう」と家庭で決めつけないことが大切です。似た症状を出す病気の中には、早く見つければ治療でよくなるものもあります。行動の変化が続くときは、様子を見続けず動物病院で相談し、必要な検査を受けてください。

根治薬はない、進行を穏やかにする関わり

現時点では、猫の認知症の原因となる脳の変化そのものを治す薬はありません。研究が進んでいる分野ではありますが、確立した根治治療はないのが現状です。そのため、できるだけ進行を穏やかにし、困っている症状を和らげて猫が安心して過ごせるようにすることが、ケアの目標になります。人用の薬の一部やサプリメント、フードの工夫が症状の緩和に役立つ場合もありますが、これらは獣医師と相談しながら取り入れるものです。

認知症の原因となる脳の病変を治す薬は今のところなく、人用の一部の薬剤が症状の緩和に効果を示す場合もあると説明されています。(アニコム損保 猫との暮らし大百科より)

16歳の子が夜中に大きな声で鳴くようになり、最初は戸惑いました。動物病院でひととおり検査してもらい、他の病気を除いたうえで認知症の可能性を教わってから、日中にたくさん構って夜に眠れるよう工夫しています。原因が分かると、こちらも落ち着いて付き合えるようになりました。

家庭でできる環境調整

猫の認知症では、薬よりも暮らしの環境を整えることが大切になる場面が多いといわれます。ポイントは、混乱させないことと、動きにくさや危険を減らすことです。

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    生活リズムを整える

    日中は日光の入る場所で過ごさせたり、無理のない範囲で遊びに誘ったりして、昼に活動して夜に眠れるリズムを促します。昼夜逆転や夜鳴きの軽減が期待できます。
  2. 2

    トイレを使いやすくする

    ふちの低いトイレに替える、寝床の近くに置く、数を増やすなどで、間に合わない粗相を減らします。こまめに掃除して清潔に保つことも大切です。
  3. 3

    移動と安全を確保する

    滑りにくい床にする、段差にスロープや踏み台を足す、ぶつかっても痛くないようクッションを置くなど、迷って歩き回っても安全な導線を整えます。
  4. 4

    配置を大きく変えない

    部屋の模様替えやトイレの場所の急な変更は混乱のもとになります。慣れた配置をできるだけ保ち、変える場合は少しずつにします。

猫では認知機能不全に対して環境の見直しが特に重要で、薬だけよりも環境調整のほうが大切な場合があること、生活パターンをよく評価したうえで整えることが説明されています。(埼玉県獣医師会の解説より)

トイレを寝床の近くに配置する、ふちの低いトイレに変える、スロープを設置して移動を容易にする、こまめに掃除をして清潔に使えるようにする、といった環境調整の例が紹介されています。(アニコム損保 猫との暮らし大百科より)

気づいたら記録しておきたいこと

  • 鳴く時間帯・回数・声の様子(いつから変わったか)
  • 粗相やトイレの失敗の頻度と場所
  • 歩き回る・迷う・角で行き詰まるなどの様子
  • 呼びかけへの反応、食欲や飲水量、体重の変化
  • 昼と夜の過ごし方(昼夜逆転の有無)

こうしたメモは、受診のときに獣医師が状況を把握し、他の病気を除外していくための大切な手がかりになります。

よくある質問

猫の認知症は何歳ごろから多いですか
個体差はありますが、10歳を過ぎるころから増え始め、15歳以上では半数程度に何らかの症状が見られるとの報告があります。見た目が元気でも10歳を超えたら様子を気にかけておくと安心です。
夜鳴きが増えたら認知症でしょうか
夜鳴きは認知症でよく見られる症状ですが、甲状腺の異常や痛み、膀胱炎など別の病気でも起こります。認知症と決めつけず、動物病院で他の病気を除外してもらうことが大切です。
猫の認知症を治す薬はありますか
脳の変化そのものを治す薬は今のところありません。症状の緩和に役立つ薬やサプリ、フードの工夫はありますが、獣医師と相談しながら取り入れ、環境調整とあわせて進行を穏やかにすることを目指します。
家でできることは何ですか
日中に活動させて夜眠れるリズムを促す、使いやすいトイレにする、滑りにくい床やスロープで安全を確保する、慣れた配置を大きく変えない、などが基本です。困りごとが続くときは受診して相談してください。

まとめ

猫の認知症(高齢性認知機能不全症候群/CDS)は、脳の老化に伴って認知機能が低下していく状態で、猫が長生きするようになった今、あらためて注目されています。夜鳴き・徘徊・トイレの失敗・呼びかけへの反応の鈍さ・昼夜逆転などの行動変化として表れますが、これらは甲状腺や腎臓、関節、脳など他の病気でも起こり得るため、確立した検査がない中で他の病気を除外して診断していきます。根治薬はなく、生活リズムを整える・トイレや床を使いやすく安全にする・配置を大きく変えないといった環境調整が中心になります。「年のせい」と決めつけず、気になる変化が続くときは記録を持って早めにかかりつけの動物病院に相談することが、シニア猫が穏やかに過ごすための一歩になります。

出典・参考

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