ニャレッジ
しつけ・問題行動

猫が机や棚の物を落とすのはなぜ?理由と、叱らずにできる家庭の対策

対象の目安: 全ライフステージ

ソラ編集長 / 住環境・多頭飼い担当
・ 約21分で読めます
猫が机や棚の物を落とすのはなぜ?理由と、叱らずにできる家庭の対策

デスクの端に置いたペンを、猫が前足でちょいちょいと押していく。落ちる。そしてこちらを見る。心当たりのある方は多いはずです。我が家でも、寝る前にテーブルを片付けておかないと、朝には床にリップクリームとイヤホンが転がっています。つい「わざとやっている」「嫌がらせだ」と言いたくなりますが、猫の行動を人間の悪意にあてはめて解釈しても、対策にはつながりません。

この記事では、背景として考えられていることを整理したうえで、落とされると本当に危ない物と、家庭で無理なく続けられる対策をまとめます。

そもそも、どのくらいよくある行動なのか

まず知っておきたいのは、これがかなりありふれた行動だということです。ねこのきもちWEB MAGAZINEが2023年1月に公開したWebアンケート(回答139件)では、「愛猫が、机に置いてある物などをわざと落とすことがあるか」という問いに約7割が該当したと報告されています。読者が自分で答える形式のアンケートなので厳密な発生率とは言えませんが、少なくとも、うちの子だけがやんちゃなわけではなさそうです。

2023年1月13日公開のWebアンケート(『物をわざと落とす猫の行動に関するアンケートvol.15』回答139件)で飼い主の約7割が「愛猫が机に置いてある物などをわざと落とすことがある」に該当したこと、理由として「そこにあると邪魔だから」「好奇心から」「楽しいから」「飼い主さんの気を引きたいから」が挙げられること、好奇心旺盛で活動的な猫に多いとされることについて。ねこのきもちWEB MAGAZINE(獣医師 岡本りさ監修)より。

同じ媒体の別の獣医師解説(監修:山口みき)では、机の上の物を落とす理由として、遊びとして落とす、物を邪魔に感じて落とす、「落とすと飼い主さんに注目してもらえる」と学習してわざと落とす、の3つが挙げられ、好奇心が強い猫や若い猫に多い傾向があるとされています。

落とす行動の背景にあると考えられていること

猫の内心を直接確かめることはできないので、ここから先は「こう考えられています」という説明です。複数の要因が重なっていることのほうが多いと考えたほうが実態に近いでしょう。

動く物への興味と、狩りの本能

猫は動く物に強く反応する動物です。PetMD(猫の行動コンサルタントMarilyn Krieger CCBC執筆、獣医師Teresa Manucy DVM監修)は、猫が物を倒すのは捕食本能に根ざした行動で、素早く動く物は「追いかけ、捕まえ、食べる」対象になりうるからだと説明しています。押した物が転がったり落ちたりする動きは、猫にとって獲物の動きに似た刺激になるわけです。

猫が物を倒すのは捕食本能に根ざす行動で素早く動く物は追いかけ捕まえる対象になりうること、猫は学習が早くグラスをテーブルの縁に押していくと人が反応することをすぐ理解すること、刺激の乏しい環境の退屈な猫は自分で楽しみを見つけようとすること、対策として壊れやすい物を戸棚などに片付ける環境管理と、爪とぎ・おもちゃ・高い居場所・窓辺の棚といった環境エンリッチメント、そして反応せず先回りして遊びに誘う方法が挙げられていることについて。PetMD(執筆Marilyn Krieger CCBC、監修Teresa Manucy DVM)より。

前足で押して確かめる探索

猫にとって前足は、対象を確かめるための道具でもあります。AAFPとISFMの猫の環境ニーズに関するガイドラインでも、前足や口で扱えるおもちゃを使うことが遊びの方法として挙げられています。硬さ、重さ、動くのか動かないのか。触って押してみることは、猫にとって自然な情報収集です。とくに若い猫は経験が少ないぶん、いろいろな物で試す傾向があると考えられています。

飼い主の反応が「報酬」になってしまう学習

対策上いちばん重要なのがここです。PetMDは、猫は学習が早く、グラスをテーブルの縁に押していけば大好きな人が反応することをすぐに理解する、と述べています。飼い主にとっては「やめさせるための声かけ」でも、猫の側からは「押したら人が来た」という結果に見えます。叱る声も駆け寄る足音も、猫にとっては注目という報酬になりえます。

退屈・運動不足・要求

PetMDは、刺激の乏しい環境にいる退屈な猫は、自分で楽しみを見つけようとすると説明しています。AAFP/ISFMのガイドラインも、捕食に近い行動の機会を与えないと、肥満や退屈、フラストレーションにつながり、それが過剰グルーミングやストレス関連の疾患として表れうると述べています。ごはんの時間の直前や、仕事中に集中して起きるなら、要求のニュアンスが強いかもしれません。

メモ

上で紹介した獣医師解説でも「物を邪魔に感じて落とす」は理由の一つとして挙げられていますが、猫が実際にそう考えていることが実証されているわけではありません。人間の意図をそのまま当てはめる読み方は、対策を誤らせることがあります。観察するときは、いつ・どこで・何を落とすのかという事実のほうを記録してください。

落とされると本当に危ない物

床に落ちて困るのは「割れる物」だけではありません。落ちたあとに猫が口にすること、破片を踏むことのほうが危険です。

分類具体例主なリスク
割れ物ガラスコップ、陶器、鏡、花瓶破片での肉球や口のけが。人のけが
刃物・鋭利物カッター、はさみ、カミソリ、画びょう切創。落下時に猫に当たる
薬・サプリメント錠剤、PTPシート、目薬誤飲による中毒。人用の薬はとくに危険
植物ユリ類、観葉植物、花瓶の水中毒。ユリは花瓶の水も危険とされる
ひも状の物ヘアゴム、輪ゴム、糸、リボン、マスクのひも飲み込むと腸に絡む線状異物のリスク
袋・シートビニール袋、ラップ、袋の留め具かじって飲み込む。窒息
コード類充電ケーブル、電源タップ、イヤホンかじって感電。落下で機器が猫に当たる
重量物ノートPC、モニター、置き時計猫や人への落下による打撲・骨折

注意

机の上に置いた重い物や、コードでつながった機器は、落ちるときに猫自身に当たることがあります。モニターアームや充電ステーションは、猫が飛び乗る動線から外すか、脚を壁側にして倒れにくくしておきましょう。

危険

ひも状の物(ヘアゴム、輪ゴム、糸、リボン)を飲み込んだ疑いがあるときは、時間が経つほど腸に絡んで重くなることがあります。薬やユリ類などの中毒が疑われる場合も同様です。自己判断で吐かせようとせず、すぐに動物病院へ連絡してください。AAFP/ISFMのガイドラインも、ひもや飲み込みうる部品のついたおもちゃは遊びのあとに必ず片付けるよう勧めています。

誤飲・誤食と中毒の全体像、疑ったときの動き方はこちらにまとめています。

あわせて読みたい

猫の誤飲・誤食・中毒を防ぐ|ユリや人の食べ物・ひも状異物の危険と対応

対策1: 反応を変える(叱らない・報酬にしない)

落とされた瞬間の対応を変えるのが、いちばん費用のかからない対策です。ねこのきもちの獣医師解説(監修:山口みき)は、視線を向ける、声をかける、近づくといった行為が「物を落とすと注目してもらえる」という学習につながるため避けるべきだとし、落とされても完全に無視することを勧めています。

猫が机の上のものを落とす理由として遊び・物を邪魔に感じる・注目されると学習してわざと落とす、の3つが挙げられ好奇心が強い猫や若い猫に多いとされること、対処法として落とされて困るものを置かない、机に登れない環境をつくる、落とされても視線を向けず完全に無視する、ぬいぐるみなど音のしない物を置く、机に登る前に別の遊びに誘うことが挙げられていること、視線・声かけ・接近が学習を強めるため避けるべきとされることについて。ねこのきもちWEB MAGAZINE(獣医師 山口みき監修)より。

叱る・大声を出す・霧吹きで水をかけるといった方法は勧められません。米国獣医動物行動学会(AVSAB)は、犬のトレーニングについて「現在の科学的根拠にもとづき、行動の問題への対応を含むすべての犬のトレーニングで、報酬を用いる方法のみを使うことを推奨する」という立場表明を出しています。この立場表明を紹介したAVSABサイトの解説記事(Zazie Todd博士)は、猫も報酬を用いる方法だけで教えるべきであり、ガラガラ音の出る缶や水をかけること、猫に怒鳴ることは猫の福祉に悪く、猫との関係を損なう可能性があるとしています。効果が不確かなうえに信頼を失うので、割に合いません。

AVSABの人道的な犬のトレーニングに関する立場表明が「現在の科学的根拠にもとづき、行動の問題への対応を含むすべての犬のトレーニングで報酬を用いる方法のみを使うことを推奨する」とされていること、嫌悪的な方法には恐怖・不安・ストレス・攻撃性・ストレス関連疾患・悲観的傾向・飼い主との関係悪化といった福祉上のリスクがあり、猫でも同様のリスクを示唆する研究があるとされること、猫も報酬を用いる方法だけで教えるべきで、ガラガラ音の出る缶や水をかけること、猫に怒鳴ることは猫の福祉に悪く関係を損ないうるとされることについて。AVSABサイトに掲載された解説記事(2024年3月・Zazie Todd博士執筆)より。

ヒント

無視を始めると、しばらくのあいだ行動が一時的に激しくなることがあります(それまで通用していた手段を強めて試す反応です)。ここで折れて反応すると、「強くやれば通じる」と学習させてしまいます。片付けと遊びの充実をセットで進め、無視だけに頼らないのがコツです。

同じ「叱らずに環境で解決する」考え方は、テーブルやキッチンに上る問題とも共通します。

あわせて読みたい

猫がテーブル・キッチンに乗る|やめさせるより「上らせない工夫」と叱らない対策

対策2: 置き場所と固定を見直す

行動を変えるより、環境を変えるほうが確実です。PetMDも、壊れやすい物は戸棚などの手の届かない場所にしまう環境管理を第一に挙げています。

  • 猫が乗る面は、縁から手のひら1枚分ほど(目安15cm程度)を空けると押し出されにくくなります。決まった基準値があるわけではありませんが、猫は縁に近い物ほど押しやすく、落ちる様子もよく見えます
  • 割れ物・薬・刃物は、扉のある収納へ。引き出しは前足で開けられることがあるのでチャイルドロックを併用します
  • 出しっぱなしにする小物は、フタつきのケースや深めのトレーにまとめる。ばらばらに置くほど標的が増えます
  • どうしても置くなら固定する。地震対策用の耐震ジェルマットや、はがせる粘着タック、滑り止めシートで、押しても動かない状態にします
  • 観葉植物は棚の上に置かず、猫が入れない部屋か吊り下げに。ただし吊り下げても葉が落ちれば届きます
  • ぬいぐるみやフェルト小物など、落ちても音がせず危険もない物を「落としてよい場所」に置いておく手もあります

ヒント

耐震ジェルは、無垢材や塗装面では跡が残ることがあります。目立たない場所で試すか、フェルトシートを挟んでから使ってください。

対策3: 狩りの欲求を遊びと食事で満たす

環境を整えても、暇と体力が余っていれば別の遊び相手を探します。AAFP/ISFMのガイドラインは、猫の環境ニーズの5本柱のひとつに「遊びと捕食行動の機会の提供」を挙げ、探す・忍び寄る・追う・飛びかかる・捕まえるという捕食の一連の流れを、遊びと食事でできるだけ再現するよう勧めています。

猫の環境ニーズの5本柱のひとつが遊びと捕食行動の機会の提供であること、捕食行動は十分に給餌された猫でも起こること、機会を与えないと肥満や退屈・フラストレーションにつながり過剰グルーミングやストレス関連疾患、方向を誤った攻撃行動として表れうること、方法として食べ物を複数の場所に隠す・ばらまき給餌・パズルフィーダーの利用、竿状のおもちゃで飛ぶ獲物や地上の獲物の動きを再現し最後に捕まえさせること、遊びのあとにごほうびを与えること、おもちゃはローテーションして飽きを防ぐこと、手や足を遊びに使わないこと、ひもや飲み込みうる部品のついたおもちゃは遊びのあとに片付けること、多頭飼いでは猫ごとに別の時間と場所で遊ぶこと、高齢猫も遊びを必要とするが種類や強度の調整が必要なこと、子猫はより高い強度と時間の遊びを必要とすることについて。AAFP and ISFM Feline Environmental Needs Guidelines(J Feline Med Surg 2013)より。

具体的には次のような組み立てです。

  1. 1

    1日2回、5〜10分の集中した遊びを入れる

    竿状のおもちゃを、飛ぶ獲物のように空中で振る動きと、地上の獲物のように床をすばやく逃げる動きで使い分けます。長時間より、短く濃く、回数を分けるほうが続きます。
  2. 2

    最後は必ず「捕まえさせて」終わる

    追わせるだけで終えると欲求が宙に浮きます。ガイドラインでも、竿の先のおもちゃを捕まえさせて捕獲を再現し、遊びや関わりのあとにごほうびを与えることが挙げられています。
  3. 3

    遊びのあとに食事を持ってくる

    捕らえて食べる、という流れに沿うと満足しやすく、そのあと落ち着きやすくなります。夕方や就寝前に組み込むと、夜の活動対策にもなります。
  4. 4

    食事の一部をパズルフィーダーや隠し場所に回す

    ガイドラインでは、複数の場所に食べ物を隠す、ドライフードをばらまく、パズルフィーダーで少量頻回にする方法が挙げられています。まずは簡単な難易度から始めます。
  5. 5

    おもちゃはローテーションして片付ける

    飽きを防ぐためにローテーションが勧められています。ひもや小さな部品のついたおもちゃは、遊びが終わったら必ず片付けてください。

窓辺の棚やキャットタワーで上下運動と見晴らしを確保することも、PetMDが挙げる環境エンリッチメントのひとつです。運動量が足りているかどうかの見直しは、こちらも参考にしてください。

あわせて読みたい

室内飼いの猫の運動不足を解消する5つの方法

年齢によって意味が変わる

同じ「物を落とす」でも、年齢によって読み方が変わります。

ライフステージよくある背景対応の重点
子猫(〜1歳)探索と遊び。何でも試す時期危険物の徹底撤去。安全なおもちゃで発散。強度の高い遊びを多めに
成猫(1〜7歳)退屈・運動不足・学習した要求反応しない。遊びと食事の設計を見直す
シニア猫(7歳〜)遊びの延長のこともあるが、変化なら要注意急に増えた・不器用になったら受診を検討

AAFP/ISFMのガイドラインは、高齢猫も遊びを必要とするが種類と強度の調整が必要であり、子猫はより高い強度と長さの遊びを必要とすると述べています。

シニア猫で「急に」変わったときは受診を

これまで器用によけていたのに物によくぶつかる、狙って触れていたのに手元が定まらない、夜中に大きな声で鳴きながら物を落とす。こうした急な変化は、行動の癖ではなく体の変化のサインであることがあります。

コーネル大学猫健康センターは、猫の認知機能不全の行動サインとして、空間的な見当識障害、遊びへの興味の低下、過度の睡眠、睡眠と覚醒のサイクルの変化、壁や空間を長時間じっと見つめる、トイレ以外での排泄、とくに夜中に見られる大きな鳴き声などを挙げており、こうした兆候は10歳以上の猫ではっきりしてくる傾向があるとしています。同センターは、甲状腺機能亢進症や腎臓病など、似た行動変化を起こしうる他の病気を除外したうえで対応を検討するとしています。

認知機能不全の行動サインが10歳以上の猫ではっきりしてくる傾向があること、サインとして空間的な見当識障害、遊びへの興味の低下、過度の睡眠、睡眠覚醒サイクルの変化、壁や空間を長時間見つめる、トイレ以外での排泄、夜中の大きな鳴き声などが挙げられること、甲状腺機能亢進症や腎臓病など似た行動変化を起こしうる他の疾患を除外したうえで、獣医師がフルオキセチンなどの抗不安薬の処方を検討することがあるとされることについて。Cornell Feline Health Centerより。

視覚の変化が関わることもあります。同大学の高血圧に関する解説では、眼の障害が猫の高血圧でもっとも多く見られる標的臓器障害で、網膜剥離による失明から、眼底の出血やむくみといった軽微なものまで幅があるとされています。「年のせい」で片付けず、気になる変化があれば早めにかかりつけの動物病院に相談してください。

猫の高血圧では眼の障害がもっとも多く見られる標的臓器障害で、網膜剥離による失明から眼底の出血やむくみといった軽微な所見まで幅があるとされること、猫の高血圧は基礎疾患に続発することが多く慢性腎臓病や甲状腺機能亢進症との関連が示されていることについて。Cornell Feline Health Centerより。

あわせて読みたい

猫の認知症(高齢性認知機能不全症候群/CDS)とは、増えるシニア猫の行動変化とケア

危険物の片付けチェックリスト

寝る前と外出前の2回、次の項目をさっと確認する習慣にすると、事故はかなり減らせます。

猫が乗る面の「落とされたら困る物」チェック

  • ガラス・陶器の食器やコップを、猫の乗る面に出しっぱなしにしていない
  • はさみ、カッター、カミソリ、爪切り、画びょうを引き出しやケースにしまった
  • 飲み薬・サプリメント・目薬を、扉のある収納に戻した(PTPシートの飲み残しも)
  • ヘアゴム、輪ゴム、糸、リボン、マスクのひもを回収した
  • ビニール袋、ラップ、食品袋の留め具を片付けた
  • 充電ケーブル・電源タップを束ねて、猫の動線から外した
  • 観葉植物と切り花(とくにユリ類)を、猫の入れない場所に移した。花瓶の水も置きっぱなしにしない
  • ノートPC・モニター・重い置物を、縁から離すか固定した
  • ひもや小さな部品のついたおもちゃを、遊びのあとに片付けた
  • キッチンのコンロ周り・シンクに、食材や刃物を出したままにしていない

注意

とくにユリ類は、花や葉だけでなく花瓶の水も猫にとって危険とされています。もらった花束をそのまま飾る前に、猫のいる家に置いてよい植物かどうかを確認してください。口にした疑いがあるときは、症状がなくてもすぐ動物病院へ連絡を。
うちの猫は目を合わせてから落とします。やっぱりわざとですよね?
「反応を予期している」という意味では意図的と言えますが、飼い主を困らせようという悪意とは別のことです。獣医師解説でも、視線を向ける・声をかける・近づくといった反応が学習を強めるとされています。目が合ったときこそ、反応せずに視線を外し、少し時間をおいてから別の遊びに誘うのが有効です。
落としたときにすぐ拾うのはよくないですか?
猫が見ている前で駆け寄って拾うと、注目という報酬を与えることになりえます。ただし割れ物や薬など危険な物は安全が最優先です。危ないものはためらわず片付け、そのうえで、そもそも落とされる場所に置かない運用へ切り替えてください。
叱らないなら、どうやってやめさせればいいのでしょうか。
「やめさせる」より「落とす対象をなくす」「別の発散先を作る」と考えるほうが現実的です。本文で述べたとおり、大きな音や水をかけること、怒鳴ることは勧められないので、報酬ベースの方法に切り替えます。片付けと遊びの充実、そして反応しないことの組み合わせが基本です。
留守中に落とされます。どうすればいいですか?
留守中は反応の制御ができないので、環境で解決するしかありません。出かける前に危険な物を片付け、置くものは固定し、必要なら猫が入れない部屋を作ります。出発前に短く遊んで、食事の一部をパズルフィーダーに入れておくと、留守中の暇つぶしにもなります。
多頭飼いで、1匹だけが物を落とします。
性格や年齢、運動欲求の差が出やすい部分です。ガイドラインでは、多頭飼いでは猫ごとに別の時間と場所で遊ぶこと、おもちゃを別々の場所に置いて競合を避けることが勧められています。よく落とす子だけ、遊びの回数を1回増やしてみてください。
高齢の猫が最近よく物を落とします。様子を見ていいですか?
急に増えた、動きが不器用になった、物によくぶつかる、夜間の鳴きが増えたといった変化があるときは、加齢と決めつけず動物病院に相談することをおすすめします。認知機能の変化のほか、甲状腺機能亢進症や腎臓病、高血圧にともなう眼の障害など、似た行動変化を起こしうる状態は複数あります。

まとめ

猫が机や棚の物を落とすのは、多くの飼い主が経験するありふれた行動で、嫌がらせではありません。動く物への興味と狩りの本能、前足で押して確かめる探索、退屈や運動不足、そして「落とすと人が反応してくれる」という学習が重なって続いていると考えられています。だからこそ、叱っても止まらないのです。

やるべきことは3つ。落とされて困る物と危ない物を、猫の乗る面から物理的になくすこと。置くなら耐震ジェルなどで固定すること。そして竿状のおもちゃで捕食の流れを再現し、最後に捕まえさせてから食事につなげる遊びで、狩りの欲求を満たすことです。落とされた瞬間は視線を向けず、少し間をおいてから遊びに誘う。この置き換えが効きます。叱る・大声・霧吹きに頼らず、本文で述べたとおり報酬ベースの方法に切り替えてください。

ガラスや刃物、薬、ユリ類、ヘアゴムなどのひも状の物は、落ちること自体より誤飲・中毒・けがのリスクが大きいので、片付けを最優先に。寝る前と外出前のチェックを習慣にするだけでも、事故はかなり減らせます。

そしてシニア猫が急に不器用になった、物によくぶつかる、夜間の鳴きが増えたというときは、行動の癖ではなく体の変化かもしれません。自己判断で様子を見続けず、かかりつけの動物病院に相談してください。

出典・参考

この記事をシェア

関連する記事

しつけ・問題行動

猫がテーブル・キッチンに乗る|やめさせるより「上らせない工夫」と叱らない対策

猫がテーブルやキッチン、コンロに乗るのには高い場所を好む本能や食べ物のにおいといった理由があります。叱る・霧吹きが逆効果になりやすい理由と、乗る理由をなくす環境づくり、良い居場所の用意、キッチンの安全対策まで叱らずにできる工夫をまとめました。